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2025.04.21
知財ニュース
リコー、企業経営者本人をモデリングしたデジタルクローンの提供を開始

株式会社リコーは、企業経営者本人をモデリングして作成したデジタルクローンの提供を開始した。今回、株式会社久永の久永社長をモデルとしたデジタルクローンの3Dモデルを作成した。
第一弾として、3月21日に行われた創立105周年記念イベントで、デジタルクローンが久永社長の声で、今後の抱負を来場者に語りかけた。将来的には、3Dモデルと社長の考え方などを学習させたAIを連携させ、社長の代わりとして、社員や顧客と対話できるデジタルクローン型AIエージェントを開発する予定だ。
企業経営者のデジタルクローンは、経営者の考え方や経営理念を学習し、容姿も似せたAI搭載の3Dモデルだ。経営者の分身として、経営者に代わり社員や顧客と身近で対話しコミュニケーションや社員教育などを強化する役割を期待されている。
株式会社久永は、1919年創業の「測る・量る・計る・図る」を主軸に顧客と共にビジネスを創造し、鹿児島県を中心に宮崎、熊本、関東と広域にわたり「地域のパートナー企業」として独自のDXソリューションを提供している。
同社は、企業の規模が拡大するなか、経営理念の浸透や経営層と社員のコミュニケーション強化が課題となっていた。また、事業形態も、モノからコト、コトからコンサルティングへ大きく変化する中、顧客へ久永の強みである「建設DX事業」「オフィスDX事業」「ビジネス空間事業」を融合して提供するビジネスの認知度向上に取り組んでいる。今回作成したデジタルクローンは、社員とのコミュニケーションツールとして活用していく予定だ。
また、105周年の感謝の集いにおいて、幅広い事業での「お役立ち」の認知度の向上と、これからの未来のビジネスに欠かせないAIの活用について、久永の更なるチャレンジとして来場者に紹介された。
株式会社リコーは、このような先進的な取り組みに挑戦する企業姿勢を、トップ自ら率先して示したいという久永社長の想いを受けて、久永社長のデジタルクローンを製作。久永社長の全身を360°の方向から撮影し、AIを活用して200枚以上の画像データから高精細な3Dモデルを作成した。さらに、動画の撮影は、リコーが開発・提供する次世代会議空間「RICOH PRISM」で行った。モーションキャプチャーされたモデリングデータを「RICOH PRISM」内で投影することで、没入感のある動画撮影も実現した。
リコーは、1990年代にAI開発を開始し、2015年からは画像認識技術を活かした深層学習AIの開発を進め、外観検査や振動モニタリングなどへの適用を行ってきた企業だ。2020年からは自然言語処理技術を活用し、オフィス内の文書やコールセンターに寄せられた顧客の声(VOC)などを分析して業務効率化や顧客対応に活かす「仕事のAI」の提供を開始。
さらに、2022年からはいち早く、大規模言語モデル(LLM)の研究・開発に着目し、2023年3月にはリコー独自のLLMを発表。その後も、700億パラメータの大規模ながらオンプレミスでも導入可能なLLM(日英中3言語に対応)を開発するなど、ユーザーのニーズに応じて提供可能なさまざまなAIの基盤開発を行っている。また、画像認識や、自然言語処理に加え、音声認識AIの研究開発も推進し、音声対話機能を備えたAIエージェントの提供も開始している。
同社は今後も、AIやデータなどのデジタルの力で生産性を向上するとともに、創造的なコラボレーションやイノベーションの創出、創造力の発揮を支援するとしている。
Top Image : © 株式会社 リコー