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2023.10.16
知財ニュース
Amazon、プロトタイプ衛星の初回打ち上げに成功─低軌道衛星で通信網の構築目指す「Project Kuiper」
米Amazonは現地時間10月6日、プロトタイプ衛星の初回打ち上げを行ったと発表した。打ち上げは、地球低軌道(LEO)衛星で大規模通信網の構築を目指す「Project Kuiper(プロジェクト・カイパー)」によるもの。ユナイテッド・ローンチ・アライアンスが持つロケット「Atlas V(アトラスV)」に、2基の衛星を載せ、フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げを行った。
打ち上げは、米国東部時間10月6日午後2時6分に実施。衛星は地球上空311マイル(約500km)まで運ばれ、分離・展開された。午後2時50分過ぎには、同社がワシントン州レドモンドに設置したミッションオペレーションセンターで、2つの衛星からの接触を確認している。
Project Kuiperは、低軌道を周回する衛星コンステレーションと、地上アンテナ、光ファイバー、アマゾンウェブサービス(AWS)などを組み合わせて、高速で安価な通信インフラを提供する構想。人工衛星は、3,236基の打ち上げを予定している。
Amazonは、2018年よりProject Kuiperの研究開発を開始。2020年に米連邦通信委員会(FCC)より、衛星配備と運用の許可を取得した。FCCのライセンスでは、2026年7月までに少なくとも半分の衛星を配備・運用することを求めている。
衛星コンステレーションによる通信サービスは、通信インフラ・接続環境が整っていない地域でも、インターネットサービスの利用を可能にする。同事業では、イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業SpaceXの「Starlink(スターリンク)」が先行。すでに数千機の衛星を低軌道に乗せ、世界各国の100万以上の場所でサービスを提供している。
Amazonは今回の打ち上げと並行して、衛星の量産化を進めてきた。2024年前半には、量産した衛星の打ち上げを予定。同年末までに、初期の顧客向け通信サービスの提供を目指す。
Top Image : © Amazon.com