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2023.08.24
知財ニュース
搭乗可能な変形ロボット「アーカックス」初号機公開─限定5台、4億円で国内先行発売
ロボット開発を手がけているツバメインダストリは8月19日、搭乗型ロボット「アーカックス(ARCHAX)」の初号機を公開した。アーカックスは、人が乗り込んで操作できる変形ロボット。すべての可動部を動かせる「ロボットモード」と、移動に適した「ビークルモード」に変形する。同日、国内先行販売を行うと発表。初期ロットを1台4億円・限定5台で販売する。
アーカックスは、全高3.9m(ビークルモード)~4.5m(ロボットモード時)で、重量は3.5t。フレームは鉄とアルミ合金で、一部部品は3Dプリンターを用いて作られている。走行は自動車と同様、前輪操舵の後輪駆動。バッテリー(二次電池)で動作する。
腕など全身の関節自由度は26で、搭乗操作と遠隔操作が可能。搭乗操作の際は、胸部のコックピットに乗り込み、ジョイスティックやペダル、タッチパネルなどで操作を行う。コックピットにはエアコンも完備している。
外の様子は、コックピット内の4枚のモニターで確認可能。全身の9台のカメラが周囲の映像を捉える。走行速度は、ロボットモードでは時速2㎞で、ビークルモードでは時速10㎞。カメラを通して視界を得るため、公道走行はできない。ビークルモードにして一部の部品を外せばトレーラーで運べる高さに収まるため、長距離輸送なども可能だ。
ツバメインダストリは、2021年8月創業のベンチャー企業。通常は、建設・農業・産業機械や、機械器具・部品の製造などを手がけている。CEOの吉田 龍央氏は、ツバメインダストリ創業以前の学生時代に、生体センシング技術とハンドユニット技術を用いて、ロボットアームや電動義手などの製造・開発を行うALTsを創業。小さい頃からの夢だったアイアンマンやガンダムなどの高性能ロボットを作りたいと考え、準備を進めてきたという。ツバメインダストリでは、『「サイエンスフィクション」の世界を「サイエンスリアリティ」へ』をミッションに掲げている。
CTOは、「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」で動く実物大ガンダムのテクニカルディレクターを担当した石井 啓範氏が務める。石井氏は、日立での双腕重機「アスタコ」の開発を手がけたのち、動くガンダムの開発に携わった。ツバメインダストリには、「SF映画に出てくるようなロボット」を作りたいというロマン・志に共感した専門家が終結。約2年の製作期間を経て、初号機の公開に至っている。
アーカックスは、現時点ではエンターテインメントやホビー用として富裕層の購入を想定。今後は機能改善や操作性の向上などを図りながら、eスポーツへの展開も見込んでいる。将来的には、宇宙などで作業を行うロボットとしての活用も想定しており、2028年頃からの汎用ロボットのプロトタイプ開発を予定している。
直近では、アニメ「マクロス」や「アクエリオン」シリーズを手がけた、河森正治監督のデザインモデルを製品化するプロジェクトも始動。詳細は今後発表していくという。
アーカックスは、23年10月26日~11月5日に行われる「ジャパンモビリティショー2023」に出展予定。デモンストレーションとして、上半身の動作や変形など、動く様子を一般公開する予定だ。
Top Image : © ツバメインダストリ 株式会社