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2024.05.28
知財ニュース
超音波技術で水出しコーヒーを3分未満で抽出可能に、ニューサウスウェールズ大学が発表
ニューサウスウェールズ大学の研究チームは、水出しコーヒーの抽出プロセスを超音波技術を使用することで、抽出時間を24時間から3分未満の時間短縮に成功したと発表した。
水出しコーヒーは、滑らかで、酸味や苦みが少ない味が絶賛されることが多いが、抽出には12~24時間かかることが問題だった。研究チームは、既存のエスプレッソマシンを使用し、独自の特許取得済みの音響伝送システムを重ね合わせ、味覚体験を犠牲にすることなく、水出しコーヒーを3分以内に作る新しい方法を開発した。
この抽出プロセスでは、超音波反応器を使用して挽いたコーヒー豆の抽出を高速化。エスプレッソの抽出と同様の手順で、コーヒーを簡単に抽出することができる。また、超音波部品は流水や挽いたコーヒーに直接接触しないため、抽出プロセスは汚染されず、食品の安全性が確保されるとしている。
ボルトで固定したトランスデューサーを金属製のホーンを介してエスプレッソマシンの抽出バスケットに接続する。その改造されたホーンを介して、フィルターバスケット内のコーヒー粉にトランスデューサーから38.8kHzの音波を当てることで短時間での抽出が可能になるとのこと。
また、これにより、超音波処理されていないサンプルと比較して、抽出量とカフェイン濃度が2倍になることも判明した。超音波処理によって挽いたコーヒーの油分、風味、香りの抽出が速まると述べている。
ニューサウスウェールズ大学のチームを率いるトルヒージョ博士は、このプロセスを通常のエスプレッソコーヒーを作るのと同じくらい簡単にすることが目的だったと語っている。また、これにより既存のエスプレッソマシンに適応させることができることを実証できたとし、消費者が自宅で3分以内に水出しコーヒーを楽しめるようになることを非常に嬉しく思っていると述べている。
研究チームは、クイーンズランド大学の研究者と協力し、徹底的な官能分析を行った。1分間超音波処理したサンプルは、風味やコクなどの後味特性において24時間抽出したものと比較して、同様の評価を受けたが、香りの強さと香りの点数は低かった。一方、3分間超音波処理をしたサンプルは、24時間抽出したものと同様の香り、香りの強さを示したが、わずかに苦味が増した。
この結果、24時間抽出した水出しコーヒーに匹敵するコーヒーを作るには、超音波処理時間はユーザーの関心に応じて、1分から3分にするのが理想的であるとしている。
Top Image : © ニューサウスウェールズ 大学