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2025.07.07

知財ニュース

山形県で国内初の献便施設「つるおか献便ルーム」が開設―腸内細菌ドナーの登録受付が開始

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メタジェンセラピューティクス株式会社(本社:山形県鶴岡市)は、2025年4月24日、国内初となる献便施設「つるおか献便ルーム」を、山形県鶴岡市の鶴岡サイエンスパーク内に開設した。また同日、つるおか献便ルームでの献便を希望する腸内細菌ドナー向け支援ウェブサービス「ちょうむすび鶴岡」の提供を開始した。

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「つるおか献便ルーム」は、鶴岡市を含む山形県庄内地方在住の「腸内細菌ドナー」を対象とした、献便(便の提供)のための施設だ。“通いたくなるトイレ“をコンセプトとし、「腸内細菌ドナー」が定期的に献便を行ってもらえるような空間づくりがされている。施設内には、3つの献便専用トイレが設けられている。

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腸内細菌ドナーとして同施設での献便を希望する人は、「ちょうむすび鶴岡」上でドナー応募者登録を行い、オンライン健康チェックを受けた後、鶴岡市立荘内病院での「医師による問診」、「血液検査」、「便検査(腸内細菌叢検査を含む)」、「唾液検査」を受ける。

すべての検査結果に基づき、医師が適格性判断を行い、腸内細菌ドナーとして適格であると判断された人のみ正式なドナーとして認定され、献便が可能となる。また、このドナーになることができる対象者は、18歳から65歳までの健康な人で、つるおか献便ルームに定期的に通うことができ、適格性検査を2~3カ月ごと以内に受けることが可能な人だとしている。

腸内細菌ドナーは、つるおか献便ルーム内の献便専用の水に流さないトイレで便を提供する。便器内には専用ボックスが設置されており、専用ボックスに収められた便は、隣室の設備に運ばれ、便から腸内細菌が抽出される。

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腸内細菌ドナーの人が、献便を行うまでの時間を快適に過ごせるように、休憩スペースも設けられている。

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ドナーには献便1回あたり最大5千円の献便協力金が支払われる。また、「ちょうむすび鶴岡」上では、ドナー適格性検査時に行った腸内細菌叢検査の結果や献便回数を確認することができ、献便を行うことで継続的な腸内環境の確認や健康維持につながる。

便から抽出された腸内細菌は、健康な人から疾患を持つ人への「腸内細菌叢移植」を実現する医薬品の原材料として活用される。腸内細菌の抽出は、高い安全性を確保するため、徹底した製造管理および品質管理のもと、同施設に隣接された製造設備内にて行われる。

腸内細菌ドナー向けサービス「ちょうむすび鶴岡」は、山形県庄内地方在住者を主な対象とした腸内細菌ドナー認定希望者およびドナー向けのウェブサービスだ。ドナー登録の最初のステップとなる、オンライン健康チェックへの回答ができ、さらにこのチェックを通過した人はこのサービス内で、腸内細菌ドナー講習会の日程を予約することができる。また、ドナー適格性検査時の腸内細菌叢検査結果の確認や献便回数、献便協力金の受け取り状況の確認も可能だ。

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なお、これまで全国規模での腸内細菌ドナー登録を受け付けていた「J-Kinsoバンク」ウェブサービスは、東京圏在住者を対象とした「ちょうむすび東京」としてリニューアルする。今後、順天堂大学医学部附属順天堂医院内(東京都文京区)での献便を希望する人は、「ちょうむすび東京」より、ドナー応募者登録およびオンライン健康チェックを受けてもらうことになるのだという。

メタジェンセラピューティクス株式会社は、順天堂大学、慶應義塾大学、東京科学大学発ベンチャー企業で、「腸内細菌叢バンク」を基盤とし、腸内細菌叢移植(FMT)の社会実装を目的とした「医療サービス事業」と「創薬事業」を推進している。腸内細菌叢移植(FMT)は、健康な人の便に含まれる腸内細菌叢を、疾患を持つ患者の腸に移植し、バランスのとれた腸内細菌叢を再構築する治療方法で、臨床試験や、臨床研究も行われているものだ。

また、同社は、潰瘍性大腸炎を対象とした「経口FMT医薬品」の開発を進めている。同開発は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和6年度 「創薬ベンチャーエコシステム強化事業(創薬ベンチャー公募)」(第4回)に採択されており、AMEDの課題番号JP25qfb1270015(補助課題事業名「潰瘍性大腸炎治療薬MGT-006の開発」)の支援を受けている。

今回の「つるおか献便ルーム」の開設により、「献便」を中心とした新たなエコシステムの中心地となる鶴岡に貢献し、将来国内複数個所における献便施設の開設ならびに、このモデルを全国に展開することを計画している。

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Top Image : © メタジェンセラピューティクス 株式会社

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