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2021.06.14
知財ニュース
未来予測理論「SINIC理論」のオウンドメディアが公開、オムロン創業者・立石一真が1970年の国際未来学会で発表
未来予測理論「SINIC理論」のオウンドメディア「SINIC.media」が公開された。
SINIC理論とは、社会のニーズを先取りした経営をするためには未来の社会を予測する必要があるとの考えから、オムロン株式会社創業者・立石一真が1970年の国際未来学会で発表した未来予測理論のこと。パソコンやインターネットも存在しなかった高度経済成長のまっただ中において、21世紀前半までの社会シナリオを高い精度で描き出している。
SINICとは“Seed-Innovation to Need-Impetus Cyclic Evolution”の頭文字をとったもので、科学と技術と社会の間には円環論的な関係があり、異なる2つの方向から相互にインパクトを与えあっているというものだ。ひとつの方向は、新しい科学が新しい技術を生み、それが社会へのインパクトとなって社会の変貌を促すというもの。もうひとつの方向は、社会のニーズが新しい技術の開発を促し、それが新しい科学への期待となるというもの。この2つの方向が相関関係により、お互いが原因となり結果となって社会が発展していくという考え方に基づいている。
SINIC理論では、今の社会を「最適化社会」と名付けている。最適化社会では、人間と機械が理想的に調和し、生産性や効率の追求に代わって、人間としての新しい生き方や自己実現が相対的に重要になる。そのとき人間は、より本質的な欲求、例えば、健康で幸せに長生きしたい、快適な生活を送りたい、生涯学習を受けたい、楽しい余暇を過ごしたい、といったことを重要視するようになると予測されている。
オムロンでは、「安心・安全、健康、環境」をより確かなものにするために、「個人と社会」「人と自然」「人と機械」が最適なバランスを保ちつつ、人間に限りなく近づく技術の確立と、人間の本質的な欲求にこたえる事業の展開を目指しているそうだ。
SINIC.mediaの記事やイベントは、株式会社ロフトワークが運営するMTRLが企画。サイト上ではSINIC理論から未来の社会を考えるためのワークショップのアーカイブ動画や、「SINIC理論」の原著論文を閲覧することができる。今後もコンテンツが拡充されるそうだ。
Top Image : SINIC.media