木村屋總本店と日本電気（NEC）は2024年1月17日、恋を味で再現した蒸しパン「恋AIパン（れんあいぱん）」を開発したと発表した。

「恋AIパン」は、NECのAI技術を用いて恋愛感情と食品に対する感情の傾向を分析して紐づけ、恋の感情を味で表現したもの。「運命の出会い味」「初めてのデート味」「やきもち味」「涙の失恋味」「結ばれる両想い味」という、恋愛シーンを追体験できる5つの味を開発した。

会話データには、ABEMAの恋愛番組「今日、好きになりました。」を活用。番組は「運命の恋と青春の修学旅行」をテーマに、短期間に揺れ動く現役高校生たちを追う人気番組で、毎週約100万人が視聴している人気番組だ。会話分析にあたっては、番組内の出演者の会話15時間分をテキストデータに変換。出会いや告白など、恋愛シーンごとの会話文に32個の感情ワードと相関を表した感情スコアを「驚嘆」「楽観」「恐怖」「喜び」「敬愛」の5項目で付けて、感情の傾向を可視化した。

分析には、NECの最先端AI「NEC the WISE」のデータ意味理解技術を搭載した、高精度なデータ分析サービス「NEC Data Enrichment」を活用している。

食品に関わる感情は、約100万曲の日本語の歌詞データベースから、183種類のフルーツやスイーツなどの食品名を含む約3.5万曲を抽出。「NEC Data Enrichment」で食品を含む歌詞に同じく感情スコアを付与し、食品イメージが持つ感情の傾向を可視化した。

両者の感情の傾向から、恋愛シーンと食品を紐づけて、恋の感情を表現する食品上位50種を抽出。抽出データもとに、木村屋の蒸しパン開発担当者が、相性の良い食品の組み合わせを選定して、恋を味で再現する「恋AIパン」を完成させた。

創業155年を迎える木村屋は、百貨店やスーパーなどが主な販売チャネルで、若年層の新規獲得や認知獲得に課題感を持っていたという。そこで、コミュニケーションを促進するクラフトビールや、苦手な野菜を克服するプリンなど、AIを用いて食品メーカーと新たな提供価値をつくってきたNECと協業。

若年層の調査を進める中で、「恋愛離れ」を指摘する声がある一方、「恋をしたい若者｣は減っていないのではないかという想いから、「恋AIパン」の開発に着手。Z世代に人気の恋愛番組を活用して商品開発を行い、「恋がしたくなる味」をキャッチコピーに今後の展開を図る。

「恋AIパン」は、2024年2月1日より、関東近郊のスーパーや木村屋の直営店・オンラインショップで順次発売を予定。気になる味の詳細については、NEC開発の大規模言語モデル（LLM）「cotomi」が生成した解説文を公開している。

▼ 商品概要・ LLM「cotomi」作成の解説文含む

1. 運命の出会い味 （2024年4月1日販売開始予定）

生地：わたがし味 ／ マーブル：りんご ／ トッピング：青クランチ

「りんご」の甘い香りが「わたがし」の風に乗って心をくすぐった。これって偶然？運命のいたずらを「クランチ」が感じさせ、これから始まる恋を予感させる味。

2. 初めてのデート味 （2024年4月1日販売開始予定）

生地：ライム ／ マーブル：柿 ／ トッピング：オレンジピール

「ライム」と「柿」が初めて一緒になった2人分のワクワクドキドキ。「オレンジピール」のほのかな甘みが2人の距離を縮め、未来への一歩を後押しする味。

3. やきもち味 （2024年3月1日販売開始予定）

生地：紫芋 ／ マーブル：ずんだ・トリュフオイル ／ トッピング：レーズン

「紫芋」と「ずんだ」が混ざった心はマーブル模様。素直になれない自分が嫌い。「トリュフ」と「レーズン」の香りが胸の奥で絡まって不安な気持ちがとまらない味。

4. 涙の失恋味 （2024年2月1日販売開始予定）

生地：サイダー ／ マーブル：ぶどう ／ トッピング：ドライりんご

青い季節に「サイダー」の泡のように消えた恋。「ドライりんご」の甘くてやさしい香りも、「ぶどう」の涙と一緒にこぼれて、甘酸っぱい想い出になった味。

5. 結ばれる両想い味 （2024年2月1日販売開始予定）

生地：もも ／ マーブル：ドラゴンフルーツ ／ トッピング：はちみつ

太陽のような「ドラゴンフルーツ」の君に、頬を赤らめた「もも」が寄り添う。甘くとろける「はちみつ」が祝福し、ずっと一緒にいたい気持ちが膨らむ味。

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