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2023.05.16
知財ニュース
世界初、キョーラクが人肌並みに柔らかい樹脂による3Dプリント量産技術を確立─多分野での製品実装へ
プラスチック製品成形メーカーのキョーラク株式会社は、人肌並みに柔らかい軟質素材による3Dプリント成形品の量産技術確立に世界で初めて成功した。この技術実装第一弾として、株式会社ワコールの乳房手術者向けのブランド「ワコールリマンマ」と共同開発し、インナーウェア分野で初の3Dプリント成型品の商品化となるメッシュパッドに活用する。
今回確立した製造方法「軟質樹脂によるメタマテリアル3Dプリント技術」では、従来3Dプリントでの成形は不可能とされていた「ショアA硬度0」(超低硬度ゴム・グミのような柔らかい状態)の軟質樹脂を用いた成形を世界で初めて実現した。
成形は、成型品の内部構造を緻密にデザインすることでこれまでにない材料特性を引き出すメタマテリアル設計技術を組み合わせることで実現した。
3Dプリント技術は、従来の金型製作に比べ、材料廃棄を限りなく抑えられるほか、モデルチェンジの際にかかるコストや商品の発注から納品にかかる期間を削減できるという利点がある。しかし、3Dプリント技術による信頼性ある量産体制の構築はハードルが高いのが現状。キョーラクでは、こういった状況から、同社が自動車部品や食品包装分野の製品製造で培ってきた品質管理体制をもとに3Dプリント技術製品の量産に着手し、今回の量産立ち上げを実現した。
なお、同社では、本技術を使用し、株式会社ワコールと、ワコールの乳房手術者向けのインナーウェアブランドである「ワコール リマンマ」にて、史上最も通気性の高いインナーパッド『ぷるるんメッシュパッド』を共同開発し、2023年3月に販売を開始。「軟質樹脂によるメタマテリアル3Dプリント技術」の活用により、「柔らかさ」と「通気性」を両立し、これまでの素材の課題であった「パッド着用時の蒸れ」を軽減、より快適な付け心地を実現した。
人に優しい素材として、ヘルスケア領域で注目されている「ショアA硬度0」(人肌並の柔らかさ)の軟質樹脂。キョーラクでは今後、この硬度の3Dプリント量産技術を、車イスや介護ベッド、スポーツシューズのインソールなどにも応用し、既存の課題を解決する製品を実現したいとしている。
Top Image : © キョーラク 株式会社