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2023.08.03
知財ニュース
OpenAIのサム・アルトマン氏ら、生体認証を用いた暗号資産「Worldcoin(ワールドコイン)」始動
OpenAIのサム・アルトマン氏らが手がけるWorldcoin財団は、米国時間7月24日、生体認証で「World ID」を発行し、認証を受けた人であれば暗号資産「WLD」を受け取れるプロジェクト「Worldcoin」を開始した。
プロジェクトを率いるのは、OpenAI CEOのサム・アルトマン氏と、Worldcoinの共同創設者で物理学者のアレックス・ブラニア氏。AIの進化が進む中、プライバシーを保護しながら、「人」であり、本人であることをオンライン上で証明するグローバルなアイデンティティ・ネットワークと、金融ネットワークの構築を目指している。
ホワイトペーパーには、“Every human is eligible for a share of WLD simply for being human”(すべての人間は、人間であるというだけで、WLDの分け前を得る資格がある)と掲載。さらに、World IDは最終的に、AIが資金を提供するUBI(ユニバーサルベーシックインカム)の道をサポートするかもしれない、とも述べている。そうしたビジョンの下、World IDを持つユーザーは、毎週一定額のWLDを請求できる仕様となっている。
参加にはまず、ウォレットアプリである「World App」(iOS/ Androidに対応)のダウンロードが必要。その後、「Orb」と呼ばれる生体認証デバイスで認証を受けると、World IDが発行される。
Orbは眼球の虹彩で認証を行うデバイスで、本プロジェクトのために開発された。
グローバルで、10億人規模の人物証明を正確に行うためには、本人確認だけでなく、以前に登録したことがあるかどうかを見抜いて重複登録を防ぐことが必要だ。虹彩認証は、顔認証よりも数桁精度が高く、また虹彩の構造は経年変化しないため安定性も保てる。さらに指紋のようにカットして修正するのも難しい。そうした点などから、虹彩認証の採用に至ったという。
さらにプロジェクトでは、既存デバイスよりも高解像度で虹彩の撮影・画像認識可能で、セキュリティ要件を満たすデバイスを構築するため、独自開発を行ったという。
Orbによる認証は各国で展開中。日本では現在、渋谷や新宿など、4カ所で実施している。認証時間は、World AppやWebサイトから予約できる。
World IDでは、オンライン上で実在の人物であることが証明できるため、暗号資産の配布だけでなく、投票などの民主的プロセスにも活用できる。今後の進展によっては、中央集権的な既存の仕組みから離れた、新たなインフラになると期待される。
Top Image : © Worldcoin