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2021.05.31
知財ニュース
失禁体験装置で“おもらし”をポジティブに体験─介護や医療現場への活用を目指す
子育てはもちろん、高齢者の介護において大きなストレスや負荷になる「尿失禁」。日本泌尿器科学会によると、40歳以上の女性の4割以上が尿失禁を経験しており、多くの人が悩んでいるというデータも出ている。
そんな尿失禁への理解を深めるため、エンターテインメントの力を使い、ポジティブな“おもらし”の疑似体験を提供するのが、「失禁研究会」だ。2015年に設立された電気通信大学の有志学生による団体であり、学園祭に向けてアイデア出しをしていた際に“おもらし”のキーワードが出たことがきっかけとなり、「失禁体験装置」開発に至った。
失禁体験装置とは?
「失禁体験装置」とは、空気で装置を膨らませ膀胱に圧迫感を与えることで、尿失禁の感覚を再現するデバイス。股間部から足首にかけて設置した袋にお湯を流すことで尿のあたたかさを、股間部へはスピーカーによって尿道の振動を、ネッククッションで首筋に冷感と振動を与えて身体の震えをそれぞれ再現。利用者に「本当に失禁してしまったのではないか」と錯覚させることができる。
エンターテイメントとして失禁を擬似体験できるだけでなく、排尿をうまく行えない人への補助器具としての活用や、尿意を感じにくい・感じられない人へのリハビリ器具としての応用が考えられている。
ユニークな着眼点と、医療・介護分野への転用が評価され、これまでに「InovativeTechnologies2016」の特別賞「Human」賞(2016年)や第22回学生CGコンテスト「未来館賞」(2017年)などを受賞。
「失禁研究会」では、エンターテイメント向けの失禁体験装置レンタル・販売を行っており、充実したマニュアルとともに誰でも利用が可能。また、共同研究・開発など長期間の契約を前提とした医療機関、介護学校、研究機関との開発プランも用意されている。
<公式サイト>https://urealabyrinth.wixsite.com/incontinence
<レンタル・問い合わせ>https://urealabyrinth.wixsite.com/incontinence/contacts