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2025.07.09

知財ニュース

温泉を持ち運びできる「クラフト温泉」、日本発の温泉“資源”で事業拡大―海外事業化も推進

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「クラフト温泉」が躍進している。スタートアップ企業の「Le Furo(ルフロ)」が手がける、温泉成分を濃縮し持ち運び可能にした“温泉”だ。

国内施設・店舗を中心に展開しており、2027年に東急不動産が開業する「東急ハーヴェストクラブVIALA草津 Retreat green」にも参画が決定。UAEやオマーンといった中東での事業化も推進中で、源泉数が世界一多いとされる日本発の“資源”として、世界展開に向けた取り組みを進めている。

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「クラフト温泉」は、天然温泉と源泉付近から採取した鉱石を用いて作る。温泉と細かく挽いた鉱石を高圧の釜で攪拌(かくはん)し、高密フィルターでドリップして温泉成分を抽出。抽出と濾過を繰り返し行って、温泉成分を濃縮した原液の「クラフト温泉」を精製する。その濃度は、天然温泉比で最大約1万倍。天然のミネラルを豊富に含む。製造技術は特許を取得している(特許第7273763 号 / 7465388号など)。

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もととなる温泉は全国から集まる。50以上の温泉地や旅館とパートナー連携しており、全国各地の温泉をクラフト化して商品を展開。入浴液だけでなく、飲料やハンドスプレー、温泉成分をミストで味わえるディフーザーなどを提供している。手軽に使えるのも特徴で、入浴剤は一般家庭の湯舟では約30ml入れるだけ。温泉成分を日々の入浴に簡単に取り入れられる。

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商品提供だけでなく、ミネラル浴施設「TŌJI スパ」も手がけている。「クラフト温泉」を微細化したミストを全身で味わえる施設で、身体の内側から温まって発汗できる。「新しいスタイルの湯治」として、東京・西麻布をはじめ、鎌倉、三重などで施設を展開。前述の東急不動産の施設にも出店する予定だ。

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日本には温泉の源泉が2万7,000カ所以上あるが、その多くは現地で入湯する形での利用に留まる。長期保存・持ち運びが可能で、現地に行かなくても味わえる「クラフト温泉」は、日本の温泉の可能性を拡げる。

「Le Furo」の創業者は、商社や投資銀行で石油・ガス部門を担当していた。そこでの知見をふまえ、温泉の資源化を着想。国内での利活用だけでなく、新たな天然資源として海外輸出を見据えている。2022年にはドバイに拠点を設け、UAEやサウジアラビアの現地法人とも提携。中東を起点とした、温泉資源の今後の進展が期待される。

Le Furo公式「クラフト温泉」紹介ページ / オンラインストア
Le Furo公式トップページ

Top Image : © 株式会社 Le Furo

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