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2023.06.20

知財ニュース

香港の研究所HKRITA、H&Mの支援で、“音波で廃水からマイクロプラスチックを分離”する技術を開発─化学溶剤不要

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HKRITA(香港繊維アパレル研究所)は、H&M Foundationの支援を受けて、音波を利用して廃水からマイクロプラスチックを分離する技術「Acousweep(アクスイープ)」を開発した。

「Acousweep」は、特殊な形状の房室内で掃引音響波を利用し、排水からマイクロプラスチック繊維を物理的に捉えて効率的に分離する技術。化学物質や溶剤、生化学的な添加物は不要なほか、プラグを指すだけでどんな廃水施設でも使用できる。

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一般的に、排水からのマイクロプラスチック回収には膜型フィルターを活用するため定期的な交換が必要だが、今回開発した装置では連続的な水処理が可能。分離されたマイクロプラスチックは回収タンクに滴下され、リサイクルなどに利用される。なお、現時点の試験的な処理装置では、1時間あたり20リットルの水を処理でき、スケールアップした装置では1時間あたり5,000~10,000リットルの水を処理できるとのこと。

生態系や動物、人間への脅威となっているマイクロプラスチック汚染は、さまざまな原因により発生するが、海洋マイクロプラスチック汚染の主な原因は合成繊維に由来すると言われ、世界全体の約16~35%を占めると言われている。

業界全体の変革を目指す非営利団体のH&M Foundationは、地球環境にプラスの影響を与えるプラネット・ポジティブなファッションの未来に貢献する技術の発見を目指し、リスクを負いながら緊急性のある行動を行っている。

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両者は現在、20um以上のマイクロプラスチックを80%の分離効率で捕獲することを目標に、設計と運転パラメーターの最適化を推進している。今後、「Acousweep(アクスイープ)」を産業規模で導入できるようになれば、ファッション業界の環境負荷の軽減に寄与できると期待を寄せる。

プレスリリースはこち(1)(2)

「Acousweep(アクスイープ)」技術詳細はこちら

Top Image : © H&M

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