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2025.10.02
知財ニュース
「風力発電の羽根」を輸送するための世界最大級の航空機「ウィンドランナー」の開発が開始

米国のスタートアップ・Radia社は、巨大な風力タービンのブレード(羽根)を輸送するための超大型貨物機 「WindRunner(ウィンドランナー)」の開発を進めている。同社によれば、この機体は全長約108〜109メートルを想定し、貨物室容量はボーイング747の約10〜12倍に達する設計だという。
海上に設置する洋上風力タービンは陸上設置型に比べて大型化が進んでおり、一般的に高出力が期待される。
ブレード長を2倍にすると理論的に出力が約4倍に増えるとされるが、その巨大さゆえに、陸上での輸送には大きな制約がある。既存の道路や鉄道インフラでは、トンネルやカーブを通れず、長大ブレードの内陸輸送は困難とされてきた。
Radia社は、こうした課題を解決する手段としてWindRunnerを提案している。計画仕様では、
輸送可能ブレード:最大95mのブレード2枚、または105mのブレード1枚
離着陸能力:未舗装を含む短い滑走路でも運用可能とする設計
輸送形態:風力発電所の建設現場近くまで直接ブレードを空輸できることを目指す
これらの機能により、大型ブレードを内陸や山間部の風力発電所へも直接届けられる可能性が示されている。
WindRunner は現在開発構想・設計段階にあり、実機が完成・運用されているわけではない。仕様上の数値や性能は「計画値」であり、実証はこれからだ。実際にこの機体が商用運用に至れば、再生可能エネルギーの拡大に大きく貢献する可能性があるが、技術的課題やインフラ整備、経済性の検証も残されている。
Top Image : © RADIA