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2025.10.22
知財ニュース
NTT、鳥インフル発生対策にドローンと「レーザー光」で野鳥の侵入防止

NTTイードローンおよびNTT 東日本(千葉事業部)は、千葉県と連携し2025年10月中旬以降、忌避レーザーとドローンなどの先進テクノロジーを活用して、県内の養鶏事業者が営む養鶏場において高病原性鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ)の発生と罹患を防止する取り組みを進めていくと発表した。
近年、国内の養鶏業界での鳥インフルエンザ罹患および感染拡大は、全国的に過去最高水準にのぼっている。2025年1月~2月には千葉県内においても330万羽以上の養鶏が殺処分となる深刻な事態が発生しており、ひとたび鳥インフルエンザの罹患が発生すると経済的損失や食料流通へ甚大な悪影響をもたらす。
鳥インフルエンザに罹患する原因の一つとして、ウイルスを保持した野鳥の鶏舎内への侵入や糞便を通じて鶏舎内にウイルスが持ち込まれることが考えられており、これまで養鶏業界では防疫対策として主に防鳥ネットの設置などを行ってきたが、被害の抑制には限界があった。
このような背景を踏まえ、NTT東日本グループは、鳥インフルエンザへの感染リスクを根本から排除することをめざして、忌避レーザーを搭載したNTTイードローン製ドローン「BB102」による新たな防疫ソリューションを提供すると発表。従来の防鳥ネットなどの物理的対策とは異なり、実証に基づいた効果が期待されており、養鶏場への野鳥の侵入を防ぐことで、鳥インフルエンザの発生を未然に防ぐとしている。
ドローン「BB102」の機体に鳥獣害忌避装置「クルナムーブ」を搭載することで、広範囲にレーザーを照射し、養鶏場への野鳥の侵入を効果的に防ぐ。
赤色と緑色のレーザー光は、目を守る習性が強いハトやカラスなどの鳥獣へ本能的な不快感を与えることから忌避効果を発揮する。
ランダムに動くレーザー光に鳥獣が慣れにくい特性を活かし、「クルナムーブ」で継続的に照射することで「危険」と認識させ、養鶏場への飛来を防止しウイルス侵入リスクの低減に寄与する。さらに、スペックルノイズ(ちらつき)によってレーザー光へランダムな揺らぎを加えることで、忌避効果の持続性が高まる。騒音や化学物質を使わず、環境負荷が少ない持続可能な対策として有効なのだという。
また、ドローン「BB102」は、 高い飛行安定性・優れた耐久性・長時間の飛行性能を兼ね備えており、上空から広範囲にわたる鳥獣害対策を効率的に実現する。
送信機の画面で飛行範囲を設定することで、自動航行が可能なため日々変化する侵入ルートや、従来の対策では対応が難しかったエリアにも柔軟に対応する。人手による追い払いにかかる時間や人材確保の負担を軽減し、運用コストの削減にも貢献するとされている。
千葉県では、養鶏事業者による先進的な鳥インフルエンザへの感染予防対策強化を目的として、2025年7月より「家畜伝染病対策緊急強化事業」を開始した。この制度では、地域の養鶏事業者によって構成される協議会等を対象に、導入費用の3分の1を上限とする補助が提供され、総額2,000万円の予算が確保されている。今回の取り組みは、この補助制度の対象として認定されており、補助金を活用することができるとのこと。
NTTイードローンとNTT東日本は、今後は鶏舎の消毒や暑熱対策に繋がるソリューションについても検討していくなど他の鳥獣害対策へも応用することで、地域ごとに抱えている課題解決につなげていくとしている。
Top Image : © 株式会社 NTT e-Drone Technology