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2022.03.05
知財ニュース
中国の「人工太陽」、太陽の5倍高温のプラズマを世界最長となる1056秒間維持
中国科学院合肥物質科学研究院は2021年12月30日の実験で、同研究所が開発・運用する「人工太陽」こと「全超伝導トカマク型核融合実験装置(以下EAST)」が摂氏約7000万度という高温のプラズマを1056秒間持続することに成功したと発表した。トカマク型核融合装置の高温プラズマ維持時間としては世界最長となる。
EASTは2006年に運用を開始した科学技術インフラ。太陽などの恒星の内部で発生する核融合を人工的に再現でき、核融合エネルギーの研究に用いられる。
核融合とは、水素などの軽い原子核同士が結合し、ヘリウムのような重い原子核を生成する反応のこと。原料をほぼ無尽蔵に調達でき、温室効果ガスを放出せずにエネルギーを生成できることから、発電などへの利用研究が進められている。
しかし、太陽の内部で発生している核融合を再現するのは困難で、再現には数億度という高温状態を長時間に渡り閉じ込め制御する必要があった。そうした中EASTは、ここ数年、合肥総合性国家科学センターなどの関連部門の支援を受け、EASTの高度化を実施。2021年12月初旬に今回の実験を開始していた。
研究者によると、今回の実験は少なくとも2022年6月まで継続するとのこと。今後は将来的な核融合炉に類似した条件下で、実現に向けた更なる実験を進めていくという。
Top Image : © 中国科学院合肥物質科学研究院