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2021.09.01
知財ニュース
河川水位をAIで高精度に計測する技術を株式会社アラヤが開発─地方自治体の防災業務を効率化へ
AIの技術開発・ソリューション提供を手掛ける株式会社アラヤは、2021年1月より栃木市において実施した『防災分野における実証実験』に技術協力した中で、4Kカメラを用いた河川の監視カメラ画像から、河川の水位を推定するAIのモデル構築をし、±3.6cmの誤差での水位の推定を実現した。
今回の実証実験では、ピクセル単位で何が写っているかを分類することができる「深層ニューラルネットワーク」の技術を利用。河川を写した画像内を「水面」「護岸」「それ以外」に分類し、水位を測定する設計となっている。
一般的に、高精度なAIを構築するためには、様々な水位の画像が必要になる。一方で、本実証実験の短いデータ取得期間では天候変動が乏しく、水位のバリエーションが少ないという課題があった。
そのため、実写画像をベースにし様々な水位の状態を再現したCG画像を制作しデータを増強することで、高精度なAIモデル構築を実現。これにより、他の地点や他の河川にも適用しやすくなった。
実験は3つの地点で実施し、2地点でそれぞれ、±3.6cm、±3.74cmの誤差で水位の推定に成功。また、残りの1地点については±15.32cmの誤差であり、精度低下の要因を特定(夜間における光量不足)し、課題解決手法に関する示唆を得るという結果となった。
日本は自然的条件から水害等の自然災害が発生しやすい特性を有しており、毎年台風やゲリラ豪雨等による河川越水や道路冠水など、甚大な被害が発生している。一方で災害時において地方自治体では、限られた職員が様々な情報を収集・分析した上で迅速かつ的確に避難誘導等の判断をしなくてはならないため、職員の負荷が高いという課題があった。
このようなことから近年、災害発生時における被害状況の把握、河川監視等にAI活用の重要性が高まっている。台風やゲリラ豪雨が頻発する日本において、異常気象のシュミレーションやデータの活用など、テクノロジーによる防災の発展が期待される。
Top Image : ©Getty Images