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2022.12.05

知財ニュース

世界初、米食品医薬品局(FDA)が培養肉を食用として承認─持続可能な食料生産に向けた大きな一歩

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米食品医薬品局(FDA)は現地時間2022年11月16日、動物細胞から培養した肉製品を初めて食用として承認した。これにより、培養肉のスタートアップである米国のUpside Foodsが、農務省の検査後に、検査証明マークつきで培養肉を市場で食用として販売可能になった。

今回承認された培養肉は、培養鶏肉を生産する米国の​​スタートアップ企業Upside Foods(2015年設立)のもので、同社が2021年に開設した培養肉生産施設「EPIC(Engineering, Production, and Innovation Center)」で生産されている。なお、販売にあたっては、生産施設を含むFDAの登録条件と米国農務省食品安全検査局(USDA-FSIS)の検査証明が必要であり、製品自体にはUSDA認証マークの表示が必須となる。

FDAは、農務省とともに、安全かつ適切に検査証明された製品の市場投入を役割としている。また、動物の細胞から食品を作ることは食品科学の新たな分野であるとし、遠くない未来に市場へ出ていくと予想。今回の承認は、動物を殺めることなく肉製品を生産できる動物細胞培養技術の安全性について認められたFDA初の事例であり、米国での持続可能な食料生産に向けた最初の一歩となった。

■培養肉の培養フロー
①Sample:ニワトリまたは受精卵から細胞のサンプルを採取し、商用細胞株の開発に理想的な細胞を選択する。
②Nourish:細胞に合わせて最適化した培養培地や飼料を採択する(アミノ酸、脂肪酸、糖、微量元素、塩、ビタミン等)。
③Cultivate:細胞の成長・増殖に適した温度と酸素レベルを維持するカルチベーターに細胞と飼料を投入。組織の量の増加に伴い、徐々に大きなものに移行する。
④Harvest:約3週間経ったらカルチベーターから取り出し、残っている飼料と分離する。取り出された肉は、わずかに色は薄いものの、生の鶏肉の色に似ている。収穫された肉は、検査、準備、梱包、提供される。

ニュースリリースはこちら

FDAから送られた安全性認可のレター

USDAの検査マーク合意について

Upside Foods 公式サイト

Top Image : © Upside Foods

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