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2024.07.04
知財ニュース
東北大発ベンチャー企業、世界初「歯周病」治療器を販売へ―切開や縫合なしで治療が可能に
東北大学発ベンチャー企業Luke株式会社は、東北大学の研究講座と共同で開発した歯周病治療器「ブルーラジカル P-01」が世界で初めて医療機器としての承認を獲得したと発表した。また、医療機器を取り扱う株式会社エーゼットは、「ブルーラジカル P-01」と、患者行動変容アプリ「ペリミル」の販売を開始したと発表している。
Luke株式会社は、約17年の歳月をかけて研究・開発したこの新しい歯周病治療器「ブルーラジカル P-01」に搭載された高効率なラジカル殺菌技術と、機器とIoTで繋がる行動変容アプリ「ペリミル」を連携させ、世界一の感染症であり生活習慣病である歯周病に対して新たなアプローチからの解決策を提案するとしている。
歯周病は、歯周ポケット内に蓄積したデンタルプラーク(歯垢)の中の細菌によって引き起こされる歯周組織の炎症性疾患・感染症だ。近年の研究により、歯周病と心血管疾患、糖尿病、さらにはアルツハイマー病などの慢性疾患との間に有意な関連が示されている。
これらの疾患は慢性的な炎症反応に起因することが多く、歯周病菌が血流を介して全身の炎症状態を悪化させる一因となっていることが明らかにされている。このように歯周病への対応は歯科から始まる健康社会を実現するうえで大きな課題となっている。
「ブルーラジカル P-01」は歯周病を引き起こす口内細菌を99.99%殺菌することができる歯周病治療器だ。従来の超音波振動のみの治療法の場合、特に重度歯周病になると細菌の取り残しが発生するケースが多く、抜歯や抗菌薬の投与を余儀なくされてきた。
「ブルーラジカル P-01」においては3%過酸化水素水と405nm青色レーザー照射による「ラジカル殺菌」という技術が用いられている。ラジカル殺菌は、短時間でのデンタルプラーク内部の殺菌に成功した世界初の技術なのだという。
歯周ポケット内に対して超音波振動とラジカル殺菌を行うことにより、歯周病の原因となる細菌を効果的に殺菌・除去できる。切開や縫合を必要としないため、治療後の回復も早いという利点がある治療機器となっている。
歯周病治療器「ブルーラジカル P-01」と連携する患者の行動変容アプリ「ペリミル」は、患者が自分自身の口腔内に興味をもつことを習慣化させ、生活習慣病である歯周病の原因(患者自身の怠慢・放置)を絶ち、行動変容を促すことを目的とした患者用アプリだ。
患者はスマートフォンを介して「ブルーラジカル P-01」での治療時間情報や治療内容、経過をチェックすることができ、歯毎のリスクや全体の炎症状態などがわかりやすいイラストで可視化される。さらに、歯科衛生士からの歯磨き指導を受けることができ、歯磨きタイマーを使って歯磨きの習慣化をサポートするとしている。
患者行動変容アプリ「ペリミル」と連動する新規歯周病治療器「ブルーラジカルP-01」が社会実装へ Luke株式会社と東北大学の産学連携プロジェクト(東北大学)
Top Image : © Luke 株式会社