News
2025.08.22
知財ニュース
宇宙開発へ、安藤ハザマが「宇宙シェルター」と「月面地下施設」の月面構築構想をSPEXAで発表

安藤ハザマは、宇宙開発分野での技術革新と事業拡大を目指している企業だ。2025年7月30日(水)~8月1日(金)に東京ビッグサイトで開催された「国際宇宙ビジネス展 SPEXA」で、月における「宇宙シェルター」と「月地下空間利用・構造物建設」の空間構築構想について出展した。
同社は、2024年10月に設立した未来の宇宙開発に向けた新たなチャレンジを行うプロジェクト「宇宙技術未来創造室」を中心に、これまで建設事業において培ってきた同社の強みである地下空間構築やトンネル建設技術を応用し、月面および月地下に安全・安心な空間を構築することを目的とした新たな技術開発構想「宇宙シェルター」と「ルナ・ジオフロント」の実現を目指している。
「宇宙シェルター」は、専用パックにレゴリスを詰めてつくる、簡便な構造の放射線防護装置だ。月面には地上の百倍以上の放射線が降り注ぐため、人類が月面で継続的に活動するには、この脅威から人や機材を保護する空間の構築と正確な被ばく安全評価が不可欠。
そのため、同社は恒常的な銀河宇宙線(放射線の一種)、突発的な太陽フレアの双方を対象にレゴリスを遮蔽材料として使用した月面放射線防護装置(宇宙シェルター)に関する検討を進めている。
具体的には、用途に応じた目標遮蔽性能の定義と、宇宙シェルターに必要な遮蔽材料構成・厚さの設計による、構造材および施工法の開発、銀河宇宙線および太陽フレアが人や重要機器に及ぼす影響を評価し、避難アラートを発報する仕組みの構築だとしている。
月面におけるさまざまな活動を実施するための仮設作業所、休憩所、一次避難所としての使用を想定しており、2030年代の実現を目標としている。
「ルナ・ジオフロント」は、月(Lunar)の地下最前線(Geofront)に安全、安心な空間を構築する構想だ。月には地下空間(溶岩洞)の存在が確認されており、天然のシェルターとして将来的な活動拠点に活用することが期待されている。
「ルナ・ジオフロント」の構想では、月地下空間における構造物の建設により、月地下空間を「人が働く空間」「住む空間」「重要設備を保護する空間」として活用する検討を進めている。地下空間を計測する探査、溶岩チューブの整形、補強を行う施工、安定性のモニタリングを行う維持管理を一貫して行うのだという。
月地下空間における居住、研究、生産活動を実施するための拠点としての使用が想定されており、2040年代の実現を目標としている。月の地下空間の構築と利用が重要になるという想いでルナ・ジオフロントと名付け、特許庁に商標登録出願申請中とのことだ。
Top Image : © 株式会社 安藤・間