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2025.09.04

知財ニュース

EVISION、人やモノが“透明化”する「光学迷彩技術」特許を譲受―「攻殻機動隊」から着想し具現化

光学迷彩_top

日本が誇るSF漫画・アニメーション「攻殻機動隊」に登場する、周囲の環境映像を利用して自身の姿をカモフラージュする装備「熱光学迷彩」。そのコンセプトを具現化した、人や物体を消したり現わしたりする特許技術が、EVISION社に全面的に譲渡された。

譲渡された「光学迷彩技術」は、人物などで見えない後ろの景色をリアルタイムで撮影し、前面に投影して透明化を実現する。布や人体にそのまま映像を投影すると、歪む・見えないといった課題が生じるが、光の入射と同じ方向に反射する「再帰性反射材」を用いた投影技術を構築。投影した景色が乱反射せず直接見る側に戻るため、まるで透けているように見える。

技術開発を牽引したのは、VRやウェアラブル技術などを駆使して人間の身体能力の限界を超える「人間拡張工学」の研究を進めている東京大学の稲見昌彦 教授。イマーシブ技術に精通した、舘暲 東京大学名誉教授、南澤孝太 慶應義塾大学教授、杉本麻樹 慶應義塾大学教授などが参画して構築した。同技術は、2003年に米TIME誌の「Coolest Invention of the Year(最も優れた発明)」に選ばれた。

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譲り受けたEVISION社は、VR・ARやAIなどの先端技術を用いてイマーシブな映像・舞台制作などを手掛けているベンチャー企業。映像監督・映像作家でもある奥代表を筆頭に、稲見教授と杉本教授が取締役を務めている。

同社が上演した、VRゴーグルを使わない“VR体験”と古典芸能の能を組み合わせた「VR能攻殻機動隊」では、「光学迷彩技術」を活用。現実のステージ上で、出現・消失・分裂を可視化させるなどの仮想空間の演出で反響を呼び、国内外で十数回再演している。

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EVISION社は今後、「光学迷彩技術」を基盤に、国内外でライブエンターテイメントを展開していく予定。新たなイマーシブ体験の登場が期待される。

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関連特許(特許第6121097号)
講談社【公式】「攻殻機動隊グローバルサイト」熱光学迷彩ページ
EVISION 公式サイト

Top Image : © 株式会社 EVISION

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