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2022.09.05

知財ニュース

世界初、北海道上士幌町で「牛の受精卵」のドローン配送、移植に成功

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北海道上士幌町とJA上士幌町、株式会社NEXT DELIVERYは、JA全農ET研究所の協力のもと、2022年7月1日(金)に上士幌町でドローンを活用した世界初の牛の受精卵配送の実証実験を実施した。

ET研究所で採卵された牛の受精卵(冷凍保存されない新鮮卵)をドローンによって上士幌町内の農家宅へ配送し、移植をする実証を実施し、成功した。牛の受精卵のドローン配送は世界初(2022年6月末時点 株式会社NEXT DELIVERY調べ)という。

一般的な受精卵移植は、凍結・保存した受精卵を使用するが、凍結や解凍の過程で受精卵が損傷を受ければ、受胎率は低下すると考えられる。一方で新鮮卵は、冷凍受精卵よりも安定した受胎率は得られるが、採卵当日に移植を行う必要があり、採卵・流通・利用の関係上、広域流通は困難となっている。

本実証は、新鮮卵の受胎率や広域流通の可能性を検証するもので、ドローン配送による温度管理、振動、配送後の移植状況の評価を行い、従来の牛を運び新鮮卵を移植する方法や、農家が研究所まで受精卵を車で引き取りにいく方法と比較し、輸送方法や、輸送にかかる農家の手間やコストなどを比較して、ドローン配送の有効性の検証を行った。なお、今回の実証を含め今年度中に計4回の実証を予定している。

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各分野においてデジタル・トランスフォーメーションが進行する中、畜産業界においても、少子高齢化による担い手不足という深刻な課題に直面しており、各テクノロジーの活用が求められている。

上士幌町では2021年11月にドローンを活用した牛の検体(乳汁)のドローンと陸送によるリレー配送の実証を日本で初めて実施し成功させている。乳汁に限らず、デジタルを活用した新たな配送の可能性も見据えたドローン配送を含む新スマート物流の社会実装に向けて推進中だ。

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今回、特に細心の管理体制での実施が必須な受精卵の配送において、新スマート物流の実装可能性を検証できたのは大きな成果とし、今後実用化に向けて、今年度中に違う季節での複数回の実証をし、引き続き検討を重ねる予定とのことだ。また畜産業界のみならず、その他の産業界への応用、拡大の可能性も広がっていくと考えられている。

ニュース原文はこちら

Top Image : ©︎ 株式会社 NEXT DELIVERY

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