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2022.09.22
知財ニュース
画像生成AI「Midjourney(ミッドジャーニー)」が描いた絵が米美術品評会で1位を獲得─SNSを中心に物議
米ニュースサイトMotherboardは2022年8月31日(現地時間)、米コロラド州で開催されたファインアートコンテストで、画像生成AI「Midjourney(ミッドジャーニー)」が生成した絵がデジタルアーツ部門の1位を獲得したことを報じた。
1位を獲得したのは、米国のボードゲームメーカー・Incarnate GamesのCEOであるジェイソン・アレン氏が提出した「Theatre D'opera Spatial」という作品。アレン氏は制作にあたり、「Midjourney」で数百枚の画像を生成して微調整を行い、その中から3枚を選択。Adobe Photoshopで画像を調整し、Gigapixel AIで解像度を上げたものをプリントして提出したという。
この結果に対し、米国や日本のSNSでは批判が殺到。ジェネル・ジュマロン氏をはじめとするアーティストは、「AIがクリエイティブの死を早めている」と非難しているほか、TwitterユーザーのOmniMorpho氏は、「我々は芸術性の死が目の前で繰り広げられているのを見ている」と述べ、AIに仕事が奪われることへの危機感を募らせた。
AI生成画像を提出したアレン氏は、「Midjouney」のDiscord上で、「これが物議を醸すことは分かっていた」とコメント。「アーティストが逆さ吊りで描いた絵は、同じ作品を“普通に”作った他のアーティストとは異なる評価を受けるべきなのか?」と述べ、作品ではなく「誰がどのように描いたか」が評価される風潮に疑問を呈した。なお、アレン氏は「いずれ芸術界はAIが制作した芸術を“AIアート”として独自のカテゴリーを作るだろう」と持論も述べている。
近年、目覚ましい発展を遂げる画像生成AI。クリエイティブの分野では、今後も物議を醸しそうだ。
Top Image : ©︎ VICE Media Group