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2025.07.09
知財ニュース
ソフトバンク、空飛ぶ基地局HAPSを2026年に国内展開へ―成層圏から通信網

ソフトバンク株式会社は、上空約20キロの成層圏から広範囲に電波を届ける「空飛ぶ基地局」ことHAPSのプレ商用サービスを、2026年に日本国内で開始すると発表した。
同計画を加速させるため、同社は浮力を利用して飛行するタイプのHAPSを開発する米国の先進企業Sceye社に出資し、日本でのサービス展開に関する独占契約を締結した。
HAPSは、大規模災害時に地上の通信網が寸断された際の迅速な復旧や、山間部・離島といった電波が届きにくいエリアのカバーに絶大な効果を発揮する。また、衛星通信よりも高速で遅延が少なく、柔軟なエリア設定が可能。さらに、来るべき6G時代には、ドローンや空飛ぶクルマといった空のモビリティが増加することから、上空までをカバーする「3次元の通信ネットワーク」が不可欠となり、HAPSはその中核を担う技術として期待されている。
ソフトバンクはこれまで、航空機のように翼で飛行するタイプのHAPS開発を進めてきたが、今回新たにヘリウムの浮力で長時間滞空できるSceye社のHAPSを加えることで、より早期の商用化を目指していく。Sceye社はすでに20回以上の飛行実績を持つこの分野のリーディングカンパニーであり、両社の提携はHAPSの社会実装を大きく前進させるもの。
同取り組みについて、ソフトバンクの宮川潤一CEOは、HAPSが災害に強い通信インフラの構築や6G時代の社会基盤となることへの期待を語った。また、Sceye社のミッケル・ヴェスターガード・フランドセンCEOも、非地上系ネットワーク分野で豊富な実績を持つソフトバンクとのパートナーシップを誇りに思うと述べている。
ソフトバンクは2017年からHAPSの研究開発をリードしており、HAPSの商用化により、大規模災害時の通信サービスの提供に加え、6G時代を見据えて、ドローンやUAV向けに安定した通信環境を提供する次世代の3次元通信ネットワークの構築を目指していく。
Top Image : © ソフトバンク 株式会社