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2025.09.17
知財ニュース
日立ら3社、使用済み太陽光パネルを家具に再利用―破砕せず板ガラスを再利用する技術を開発

日立、イトーキ、トクヤマの3社が、廃棄される太陽光パネルの板ガラスを、粉砕せずにそのままオフィス家具へ再利用するアップサイクル技術の実証に成功したことを発表した。
これは、寿命を迎えた太陽光パネルから高品質な板ガラスを回収し、その劣化状態を精密に評価することで、オフィス家具や建材として再活用するという、資源循環型社会の実現に向けた新しい取り組みとなる。
具体的には、まずトクヤマが独自の「低温熱分解法」により、使用済み太陽光パネルから板ガラスを高品質に回収する。次に日立が開発した「非破壊強度推定技術」を用いて、回収されたガラスに生じがちな「亀裂」や「アルカリ溶出」といった劣化の影響を複合的に評価し、安全性と耐久性を確保できるかを判断。板ガラスをそのまま再利用することを可能にした。
例えばイトーキは、回収された板ガラスの持つ独特の風合いを活かし、Web会議ブースを試作をし、再生材の新たな価値を提案している。
この、回収ガラスの微細な凹凸を残し視線を遮る意匠材として活用したWeb会議ブースは、板厚やサイズが不均一な再生ガラスを効率的に使うため、合わせガラスにして安全性を高めるとともに、スチール面と組み合わせたパネル構造を再設計することで、強度も確保。
同取り組みによって、新規にガラスを製造する場合と比較して、CO₂排出量を最大50%削減できる見込みであり、オフィスや公共空間において、環境に配慮しつつデザイン性も兼ね備えたサステナブルな空間づくりが可能になるという。
この3社によるアップサイクルの実証は、廃棄物削減とCO₂排出量削減を同時に実現し、持続可能な社会インフラ構築と脱炭素社会への移行を加速させる一歩として注目を集めている。
Top Image : © 株式会社 日立製作所