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2021.09.10

知財ニュース

人口1,000人の村、徳島・木頭の“未来コンビニ”が世界三大デザイン賞「レッド・ドット・デザイン・アワード」で最優秀賞を受賞

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徳島県那賀郡那賀町木頭地区にある「未来コンビニ」が、ドイツのデザインアワード「レッド・ドット・デザイン・アワード2021」において、最も優れた革新的なデザインに贈られる最優秀賞「ベスト・オブ・ザ・ベスト」賞を受賞した。

「レッド・ドット・デザイン・アワード」は、ドイツのデザイン機関「ノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンター」が主催する、1955年に設立された国際的なデザイン賞。「iFデザイン賞」(ドイツ)、「インターナショナル・デザイン・エクセレンス賞(IDEA)」(アメリカ)とともに、世界三大デザイン賞の一つに位置づけられている。プロダクトデザイン、ブランド&コミュニケーション、デザインコンセプトの3カテゴリにおいて賞が存在し、近年では毎年60カ国以上の国から10,000以上の応募が集まっている。

集まったデザインに対し、その機能性や審美性をはじめ、独創性・創造性・デザインの質・革新性・情緒性などといった様々な観点から20名以上の専門的な審査員によって選定が行われ、約500点がレッド・ドット賞として選定。そのうち最も優れた革新的なデザインには各カテゴリの「ベスト・オブ・ザ・ベスト」が贈られ、本賞の過去受賞者にはApple社、SONY社など世界的な著名企業が名を連ねている。未来コンビニは、ブランド&コミュニケーションカテゴリのリテールデザイン部門において、最優秀賞「ベスト・オブ・ザ・ベスト」の受賞となった。

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未来コンビニのある木頭地区は徳島県と高知県の県境に位置し、人口約1,000人で65歳以上が人口の過半数を占める”限界集落”だ。この村は東西に大きく広がり、村の端から端まで移動するには車で30分以上を要するほど広大な地域となっている。

未来コンビニは、村の最西端に位置する、居住人口約200人の北川集落と呼ばれる地域に建築された。北川集落には商店が無く、最寄りのスーパーまでも車で約1時間かかるなど、生活必需品の買い物が非常に不便な環境下から、いわゆる「買い物難民」が生まれていた。未来コンビニは、地元の人々の買い物環境改善を目指すと同時に、この地で生まれ育った子供たちが多様な人生や感性に触れ合い未来への刺激を受けられる場となるように、との思いから「未来コンビニ」と名付けられ、2020年4月に誕生した。

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この僻地にコンビニという施設を新たに建築し、通り道にすぎなかった場所を「訪れるべき場所」に生まれ変わらせ、訪れる全ての人と地域とを繋ぎ、木頭の未来を紡ぐという未来コンビニの取り組みは、過疎化・高齢化など地方が抱える課題に対するプロジェクトの中でも大きな挑戦の一つだったそうだ。

未来コンビニのデザインテーマの一つが、木頭の“自然との共生”だ。デザインの軸となるY字のトラス構造は木頭の特産である柚子畑をイメージして設計され、明るいイエローに塗り分けられた。道路に面した壁一面をガラス張りにし、店舗の外には、経年変化を楽しめる国産の松の木の素材でできた水はけの良いウッドチップを敷き詰めることで、雨の多い木頭の美しい自然との一体感を店内からも感じられる設計となっている。

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また、子供たちへの目線も設計に反映されている。店内の陳列棚は、子供たちや地元の高齢者の方が商品を手に取りやすいようにと一般のコンビニよりも低めに設計され、これにより解放感のある空間を実現した。

店内奥は「木頭ゆず」のオリジナルメニューを体験できるカフェスペースや、子どもたちが様々な絵本や美しい木頭の映像を楽しめるエリアとして設計され、人々が気軽に集まれる交流の場として地元住民や観光客に愛されるとともに、木頭のアイコン的存在となっている。

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未来コンビニを手掛けるKITO DESIGN HOLDINGSグループは、「全ての人が笑顔になれる、奇跡の村を創る」をビジョンに掲げ、木頭におけるキャンプ場の再生や空き家の活用、特産の木頭ゆずを使用した加工品販売など、持続可能な故郷を作るための地方創生に取り組んできた。今後も「木頭プロジェクト」を通して、地方から社会へ与えうる影響力や可能性について模索し、持続可能かつ発展的な活動の継続を目指していくとしている。

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Top Image :©KITO DESIGN HOLDINGS株式会社

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