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2024.08.01

知財ニュース

芝浦工大と東工大研究チーム、軽量で小型の温熱制御を可能にするウェアラブルデバイスを開発

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芝浦工業大学、東京工業大学の研究チームは、軽量、小型でありながら、衣服内に循環させる液体の流量を自己感知して温熱制御を可能にするウェアラブルデバイスを発表した。

研究チームは芝浦工業大学大学院理工学研究科の桑島悠氏、工学部細矢直基教授、東京工業大学の工学院機械系前田真吾教授らとのこと。この研究成果は、「ACS Applied Materials&Interfaces」誌に掲載されている。

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レースカーのドライバー、化学療法などにすでに使用されている液体冷却衣服は、衣服に埋め込まれたチューブを利用して、ポンプで冷たいまたは温かい液体を循環させ、体温を変化させることができる。

しかしこのようなデバイスは、かさばり、騒音の大きい装置が必要で、利便性に課題があった。そこで近年、液体中に電荷を注入し、電界を利用して液体を移動させることで送液する電気流体力学(EHD)ポンプがウェアラブル機器として注目されている。

EHDポンプは静音で軽量、他のポンプよりも高い流量を確保することが可能。体にフィットしやすいソフトチューブとEHDポンプを組み合わせることで、小型で静音なウェアラブル温熱制御デバイスを実現できる。しかし、このような柔らかいチューブは、曲げによって液体が閉塞する可能性があった。

研究チームは、衣服用の新しい小型スマート電気流体ポンプ(PSEP)の開発に成功した。装置内を循環させている液体の流量モニタリングする自己感知システムにより、これまで必要とされていた機器が不要となり、小型化を実現した。そのため、従来のウェアラブル温熱制御デバイスの課題となっていた騒音や大きさ、ファッション性の制限を解決することが可能になった。

このPSEPの重要な技術革新は、EHDポンプにおける流量の自己感知システムだ。この自己感知システムは、PSEPの電極間の電流の変化を利用して流量を測定。何らかの負荷や変動によって流量が変化すると、電極を流れる電流が変化する。この電流の変化を利用して、装置自体の流量を測定することができるのだという。

研究チームは実験的に検証し、その結果が理論計算と一致していることを確認した。PSEPは最大3℃の温度調節が可能で、個人の快適性を大幅に向上させることが明らかになった。

このシステムを使用して、通常のシャツのポケットに収まるコンパクトなPSEPデバイスを製作した。また、直感的な制御を可能にするスマートフォンインターフェースを備えている。さらに、自己感知によって詰まりを検知してユーザーに通知する機能を搭載し、効率的な運用を可能にした。

将来的には、PSEPの耐久性を向上させるために、自己修復液体や先端材料などの技術をPSEPに適用させていく予定とのことだ。

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Top Image : © 芝浦工業大学 大学院理工学研究科

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