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2021.07.02

知財ニュース

6月改定のコーポレートガバナンス・コードに知的財産の活用を促す内容が追加─知財情報の開示など「知財ガバナンス」が始動

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金融庁と東京証券取引所が6月に改訂したコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)に、知的財産の活用などを促す内容が加わった。上場企業の経営層は知財戦略に責任を負う。知財情報の開示など「知財ガバナンス」の動きが出始めた。

コーポレートガバナンス・コードとは、上場企業が守るべき行動規範を示した企業統治の指針。株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行うことなどを定めたもので、その実施を一律に義務付けるものではない。しかし、「コンプライ・オア・エクスプレイン」として、何らかの事由でそれを実施(コンプライ)しない場合は、投資家にその理由を説明(エクスプレイン)することが求められる。

今回、改訂コードに「知財の活用」として盛り込まれた内容は以下の2つだ。

・知財や市場の客観的な状況を分析し、それを踏まえた経営層が戦略を決めること
・投資家などの外部にも分かりやすく説明し、資金調達につなげること

統治指針に「知財」の文字が入ったのは、今回が初めて。

「知財ガバナンス」のコンセプトはシンプルであり、知財部門がIPランドスケープなどを用いて知財や市場の客観的な状況を分析し、それを踏まえた経営層が戦略を決める。投資家など外部にも分かりやすく説明し、資金調達につなげる。当たり前の循環が企業価値を高めるといえ、各社の実行力が問われる。

知財の重要性の高まりを受け、複数の企業が自社の活用策などを情報交換する研究会の動きも出ている。企業担当者らで研究会の動きも活発化されており、知財部門長らで作る勉強会「知財ガバナンス研究会」は4月に発足。6月の時点でソニーグループ、パナソニック、川崎重工業など53社が参加している。これまでブリヂストンなどが情報提供したほか、IPランドスケープ専門家の講演も予定。幹事を務めるHRガバナンス・リーダーズの菊地修フェローは「特許だけでなくブランドやノウハウも知財。サービスや金融など幅広い業種の参加を期待する」と話す。

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Top Image : ©Getty images

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