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2024.06.28
知財ニュース
NASA、月面磁気浮上式鉄道「FLOAT」をNIACプロジェクトで第2フェーズに選出
NASAは、革新的先進コンセプト(NIAC)プログラムにおいて、第2のフェーズに進み、選出されたプロジェクト6つを発表した。
Credit: Ethan Schaler
月面鉄道システム「FLOAT(Flexible Levitation on a Track)」もその1つとして選出されている。NIACプログラムでは、航空宇宙で将来「可能性を変える」可能性のある革新的で技術的に信頼できる先進的なコンセプトを研究している。
今回、第2フェーズに進んだ「FLOAT」は、信頼性が高く、自律的で、効率的な月面貨物輸送を実現する初の月面鉄道システムだ。耐久性があり長寿命のロボット輸送システムは、NASAの月から火星への計画や、ロボット月面運用2(RLSO2)などのミッションコンセプトで想定されているように、2030年代の持続可能な月面基地の日常的な運用に不可欠なのだという。
FLOATシステムは、3層のフレキシブルフィルムトラック上で浮上する無動力の磁気ロボットだ。この3層は、グラファイト層、フレックス回路層、ソーラーパネル層で構成されている。
グラファイト層は、ロボットが反磁性浮上を使用してトラック上で受動的に浮上が可能になる。フレックス回路層は電磁推力を生成してロボットをトラックに沿って制御可能に推進し、オプションの薄膜ソーラーパネル層は日光が当たるとベースに電力を生成するとのこと。FLOATロボットには可動部品がなく、車輪、脚、またはトラックを備えた月面ロボットとは異なり、トラック上で浮上して月面の塵による摩耗を最小限に抑えるのだという。
FLOATのトラックは、月面レゴリスに直接敷設されるため、現場での大規模な工事が不要。個々のFLOATロボットは、秒速0.5メートルで輸送でき、1日に最大100,000キログラムのレゴリス/ペイロードを数キロメートル移動が可能とのこと。最小限の現場準備で、埃っぽく過酷な月面環境で自律的に動作し、トラックのネットワークは、進化する月面基地ミッションの要件に合わせて、時間の経過とともに巻き上げたり再構成したりすることが可能だ。
Top Image : © NASA