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2022.11.08
知財ニュース
カゴメとNEC、AIを活用して営農支援─自動灌漑(かんがい)制御サービスで水不足と作業負荷軽減
カゴメとNECの合弁会社「DXAS Agricultural Technology LDA」は2022年11月より、NECの農業ICTプラットフォーム「CropScope」に、少量多頻度灌漑(かんがい)対応のAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能を加えたサービスの提案を開始したことを発表した。実証試験では通常よりも少ない水の量で収穫量を増やすことに成功しており、2023年4月からの展開を目指している。
「CropScope」は、デジタルで農場を管理できる「露地栽培農業支援ソリューション」。農園の最新のモニタリング情報(気象、土壌、NDVI)や病害リスク、生育・収量改善のための農園間比較など、様々なデータを農園ごとに紐づけて一括管理でき、関係者間で作業記録や気づきを共有できる。
少量多頻度灌漑とは、作物が必要な量の水と肥料を複数回に分けて少しずつ与えることで、最適な土壌水分量を保つ栽培手法。消費する水の量を削減できる手法として知られるが、刻々と変化する最適な水分量を判断するのが難しいほか、管理が複雑で、広大かつ複数の農地をもつ生産者には作業負荷が大きいことから、普及が進んでいなかった。
そこで両社は、「CropScope」で提供されている、水や肥料のAI営農アドバイスを用いた少量多頻度灌漑の実証試験を、本年4月よりポルトガルで実施。その結果、「CropScope」を活用していない農地と比較し、約15%少ない灌漑量で、収穫量が約20%増え、通常よりも少ない水の量で収穫量を増やすことに成功したという。
両社では本サービスを今後、欧州、米州、豪州の加工用トマト市場に普及させ、営農支援を加速させる予定。営農現場の水不足の解決に寄与することで、より環境に優しく収益性の高い営農を促進し、世界各国での持続可能な農業への貢献を目指すという。気候変動や農業資材の高騰の影響で、厳しい状況にさらされている営農現場。本サービスが解決の鍵となることに期待したい。
Top Image : ©︎ カゴメ 株式会社