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2023.05.23
知財ニュース
インド宇宙研究機関、無人の有翼宇宙往還機(スペースプレーン)を自律飛行で着陸させる実験に成功
インド宇宙研究機関(ISRO)は2023年4月2日、無人の有翼宇宙往還機(スペースプレーン)を自律飛行で着陸させる実験「RLV LEX」に成功したことを発表した。
「RLV LEX(Reusable Launch Vehicle Autonomous Landing Mission)」は、スペースプレーンの開発に必要な自律飛行による着陸技術の実証を目的としたミッション。無人機であるため人が乗れないが、実験機は統合航法・誘導・制御システムで自律飛行し、滑走路に無人飛行で着陸可能。米国のスペースシャトルを小さくしたような形状(全長7m、全高2mほど)で、大きなデルタ翼の主翼に加え、尾翼2枚がV字型に配置されている。
実験は、南インドのカルナータカ州チトラドゥルガにある航空試験場で現地時間7時10分に実施。実験機はインド空軍のヘリコプターに吊られた状態で高度4.5kmで切り離され、滑空飛行を開始。宇宙からの帰還を模擬した経路を自律飛行し、離陸から30分後の現地時間7時40分に試験場の滑走路に着陸した。なお、飛行前には風洞試験とCFDシミュレーションにより、空力の特性評価も行われた。
ISROでは、本システムのためにレーダー高度計やインド地域航法衛星システム(NavIC)の受信機、着陸脚や空力装置、パラシュートを使ったブレーキシステムなどを新たに開発。また、2016年5月には、飛行実験「RLV-TD」と題し、今回の実験機と似た機体を高度65kmまで打ち上げ、大気圏再突入後を模して滑空飛行させることで、自律飛行や耐熱システムの試験を行っている(機体はベンガル湾に着水し処分)。
「RLV-TD」の成果と「RLV LEX」の成功により、大気圏再突入後の飛行から着陸までの一連の流れの技術実証に成功したことになる。ISROは再使用型ロケットの開発を目指しており、今回の成功で「夢が現実に一歩近づいた」とコメントしている。
Top Image : © インド宇宙研究機関(ISRO)