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2023.05.24

知財ニュース

世界初、3Dプリンターで神経再生に成功─京大、作製した組織を移植で神経損傷を回復

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京都大学医学部附属病院の池口良輔准教授らのチームは2023年4月24日、「バイオ3Dプリンター」で作製した細い管を患者に移植し、神経の再生を確認したと発表した。

「バイオ3Dプリンター」は、樹脂や金属とは異なり、細胞などの有機物を積み重ねて生体に近い立体的な組織や臓器を作り出す3Dプリンター。2010年頃に登場した先端技術だが、生きた細胞すらプリントできるレベルに到達しており、 3Dプリンターのさらなる可能性を広げる技術として医療業界を中心に期待を集めている。

今回の実験では、ケガで手の指や手首付近の神経を損傷した30〜50代の男性3名の腹部の皮膚から細胞を採取し、3Dプリンターで約6週間培養。直径約2mm、長さ約2cmの「神経導管」を作製し、神経の損傷部位に移植、約1年経過を観察した。

実験の結果、神経の損傷部位に移植して約1年経過を観察したところ、導管の内部に神経が伸びて再生したことを確認。同研究チームによれば、移植した管から神経再生を促すタンパク質が放出されたと考えているとのこと。なお、患者は全員仕事に復帰し「指先の感覚がほぼ通常に戻った」などと話しているという。

池口准教授は記者会見で「神経が損傷して仕事ができなくなり、苦しんでいる患者の新しい治療法の選択肢になれば」とコメント。今後の研究に期待したい。

2023042402 Bio3D conduit製品と製造メンバー

2023042403 Bio3D conduit移植手術中の光景

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Top Image : © 京都大学 医学部 附属病院

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