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2025.05.23

知財ニュース

ロボット導入で患者ケアに集中、検体運搬をロボットが代行―看護師の移動時間を半分に

Jikei W3 pressrelease

ロボティクスソリューションを提供するDFA Roboticsは、東京慈恵会医科大学附属柏病院において、運搬ロボット「KEENON W3」が病院として初めて(※)採用されたことを発表した。同じチェンジグループであるビーキャップが提供する位置情報サービス「Beacapp Here」とビーコンを活用した実証実験を経て決定されたもの。
(同社調べ 2025年3月現在)

実証実験では、ロボットが検体や薬剤の運搬業務を代替することにより、看護補助スタッフの運搬に関わる移動時間が約半分に削減されるなど、業務負担の大幅な軽減効果が確認された。

日本の医療現場が抱えている医師や看護師の長時間労働という課題は、今後少子化によってより深刻化すると見られており、厚生労働省は「医師の働き方改革」法案を施行し、業務効率化が急務となっている。特に、1日に多くの外来患者が訪れる大規模病院である慈恵医大柏病院では、慢性的な人手不足が課題にあげられていた。

DFA Roboticsはこの課題解決のためビーキャップと連携し、テクノロジーを用いた現状分析を実施。院内にビーコンを設置し、「Beacapp Here」を用いて看護師や看護補助スタッフの動線を分析した結果、院内での物を運ぶ・取りに行く動きが非常に多いことが明らかになった。

スタッフが患者対応を中断して検体や薬剤などを運搬するために往復している実態に着目し、運搬業務をロボットに代替させることでスタッフが患者ケアに専念できる時間を増やすことを目指して実証実験が開始されたという。

Jikei map (1)

2024年10月から2週間にわたり実施された実証実験では、慈恵医大柏病院の2階における検体や薬剤の運搬をロボットが担当。看護補助スタッフとロボットにそれぞれビーコンを持たせて移動データを収集・分析した結果、看護補助スタッフの1日あたりの平均運搬回数は9.5回から4.8回へと、また平均移動時間も9分39秒から4分57秒へと、いずれも約半分に削減されるという顕著な効果が確認された。

この結果は、ロボットが間接業務を担うことで、看護師や看護補助スタッフが本来の専門業務である患者ケアにより多くの時間を割けるようになり、少ない人数でも質の高い医療を提供できる環境構築に貢献することを示している。

今回の導入は、単純作業の削減による患者へのホスピタリティ向上と、運搬業務に伴うスタッフの負担軽減を目的としており、その効果が実証されたもの。

同社は今後も、病院内における運搬や清掃といった間接業務のロボット化を推進し、医療機関の人手不足解消と生産性向上を支援していく方針。また、チェンジグループ企業との連携を強化し、ロボティクスソリューションを通じて様々な分野における課題解決に貢献していくとしている。

プレスリリースはこちら

Top Image : © DFA Robotics

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