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2023.09.05

知財ニュース

キリン、ペットボトルに直接印刷できる技術を開発、ラベルを剥がさずリサイクル可能

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キリンホールディングス パッケージイノベーション研究所は、ペットボトルに直接印刷できる「リサイクル対応ペットボトル ダイレクト印刷技術(Recyclable Direct PET bottle Printing technology、以下RDP技術)」を開発した。併せて同技術をPETボトルリサイクル推進協議会に申請したことを発表した。

従来のインクでペットボトルに直接印刷した場合、リサイクル工程でインクが剥がれず、リサイクル後のPET樹脂へ着色が残ったり、透明性や品質が損なわれる恐れがあり、PETボトルリサイクル推進協議会の定めるガイドラインでは直接印刷を禁止している。

本開発では、富士フイルム株式会社が開発した剥離インク(※)を使用し、そのインクをリサイクル工程で剥離できる技術を開発。この技術により、RDP技術で印刷した表示やバーコードなどは、飲用時には剥がれず、リサイクル工程の洗浄時に剥がれ、分離させることができる。(※樹脂との密着力を制御することで、リサイクル工程の洗浄液中で剥がれ、樹脂と分離できるインク)

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ペットボトルのラベルは、ブランドを訴求し、製造者情報や賞味期限、原材料など定められた表示のために必要なものだ。使用済みペットボトルをペットボトルに再生するためには、ラベルを分別して回収をする必要があるが、特に駅や商業施設など家庭以外から回収されるペットボトルは、分別する手間や回収の負担からラベルが分別されない場合が多く、ペットボトルの資源循環の課題となっている。

キリンは“プラスチックが循環し続ける社会”の実現に向けて、必要な表示は残しながら、ラベルやシールに使うプラスチックを削減し、同時にラベルを分別する負担も軽減する技術として、日本ではまだ実用化されていないRDP技術を開発した。

当RDP技術では、キリン独自の「デジタル印刷技術」を採用しており、従来のラベル印刷に必要な製版が不要。これにより、ペットボトル一本ごとに個別のデザインの印刷も可能であり、多様なニーズに対応できる。

さらに、ペットボトルに直接印刷できるため、これまでのラベルに比べて、基材となる樹脂フィルムが不要となり、ペットボトル一本当たりのプラスチック使用量は約8%、ラベルの使用によるGHG排出量のうち約84%の削減が可能。高度なデジタル印刷技術により、原材料表記やバーコードのような微細な印刷も可能で、ペットボトルの透明感も損なわれない。フルカラーで視認性やデザイン性に優れた表現も可能という。

キリングループは、環境負荷軽減の取り組みの一環として、ペットボトルの資源循環の推進やワンウェイプラスチックの削減、ペットボトル原料の持続性向上を目指している。同社は、当RDP技術を自社利用に留めず、ライセンスアウトなどの手段も含めて広く展開していくことで、“プラスチックが循環し続ける社会“の早期実現を目指す。また、ラベルを剥がす負担を軽減することでリサイクルをより手軽にするとともに、ラベルレスボトルでも魅力的なデザインの創出を通じて、CSV経営を推進していくとしている。

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Top Image : © キリンホールディングス 株式会社

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