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2024.07.05
知財ニュース
台湾gogoro、EVバッテリー交換ステーションを「バーチャル発電所」に活用―台湾地震では6メガワットを創出
電動スクーター向けの充電インフラを展開する台湾企業のgogoro(ゴゴロ)は、EVバイクのバッテリー交換ステーションを「バーチャル発電所」として機能させる取り組みを進めている。
同社は2024年4月3日に発生した台湾地震の際、数千世帯分の電力に相当する約590カ所のゴゴロのバッテリー交換ステーションにおいて送電網からの電力供給を停止した。合計6メガワット分の地域需要を削減することで送電網を安定させ、いわゆるバーチャル発電所(VPP)のように機能したのだ。
2011年に設立された同社は、台湾全土に1万2500基を超えるバッテリー交換ステーションのネットワークを持ち、月額利用契約者は60万人超。各ステーションは、およそ自動販売機2台分の広さで、スクーター用バッテリーを約30個搭載できる。
バッテリー交換ステーションとして世界的に成功を収めている同社だが、実は創業当時から、同社が目指すのは「スマートエネルギーの創出」だった。
2021年10月には、イタリア企業のエネルエックス(Enel X)と提携。緊急事態に備えて台湾の送電網の回復力を高めるためのバーチャル発電所(VPP)システムに、同社のバッテリー交換ステーションを組み込む取り組みを進めてきたという。
同社のVPPへの取り組みは、今回の停電から送電網を守る動きだけではない。新北市では現地政府と協力して、信号機用のエネルギー・バックアップ・ステーションを作り、停電発生の際に信号機の稼働を維持できるようにしているという。
バッテリーは、病院をはじめとする重要な施設のバックアップ用蓄電池としても利用できる。停電が発生した場合、蓄電池はディーゼル発電機よりもはるかに早く電気を供給できるので、影響を最小限に抑えられるからだ。
さらにバッテリー交換ステーションは、充電のタイミングを送電網のニーズに合わせて調整できるだけでない。ステーションに設置されている未使用のバッテリーは、緊急時には予備のエネルギーとなり、送電網にエネルギーを供給することも可能だ。
同社のバッテリー交換ステーションがVPPプログラムにもたらす恩恵は計り知れない。今後も同社の取り組みに大きな注目が集まっている。
Top Image : ©gogoro