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2021.09.03

知財ニュース

平和のシンボル「禎子の折り鶴」、精密鋳造技術と3Dプリントの融合によりステンレスでの量産化に成功

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広島県の精密鋳造メーカーであり、歴史と記憶を伝えるブランド「ヒストリーメーカー」を運営する株式会社キャステムが、「⼀般社団法⼈ 禎⼦の折り鶴」の協力のもと、佐々木禎子さんが生前最後に折った折り鶴をステンレスで量産化することに成功した。

「平和への想い」「世界平和と幸福の祈願」のシンボルとなっている佐々木禎子さんの折り鶴。広島に原爆が投下された1945年、当時2歳だった禎子さんは被爆し、12歳の時に白血病を発症して亡くなった。禎子さんが闘病生活中に「病気の回復の願い」を込めて折った1,000羽以上の鶴は「禎子の折り鶴」と呼ばれ、禎子さんがモデルになった広島平和記念公園の原爆の子の像の前には、毎年1,000万羽以上の折鶴が世界中から届けられている。

「禎子の折り鶴」は、佐々⽊家と広島平和記念資料館内のものを合わせ100羽程度しか残っていない。佐々木家には⽇本各地、世界各国から「禎子の折り鶴」の寄贈依頼がある。しかし、数に限りがあるため、全ての要望に応えたくても応えることができない状況だ。また、材質が紙のため、色の退色や劣化が進行し、その保存には専⾨的な知識と高額な設備も必要とされる。

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キャステムの「広島県に本社を置く企業として、平和の象徴でもある折り鶴で何か発信することができないか」との思いから、本プロジェクトはスタートしたそうだ。3Dスキャンや3Dプリントといった最新のデジタル技術とキャステムの50年の精密鋳造技術を掛け合わせることで、「禎子の折り鶴」は紙製の折り鶴から金属製の永遠の折り鶴として蘇り、世界中の人の手に届けることが可能となった。

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折り目や紙の質感まで完全再現されたこの折り鶴の商品名は「SADAKO」 と命名され、日本国内及び海外に向けて販売サイト等を通じて販売される。

【商品概要】

・商品名 :SADAKO
・発売日 :2021年8月6日(金)

・販売価格:1,100円(税込)
・材質  :ステンレス
・サイズ :縦7mm×横23mm×高さ13mm
・重量  :1g
・生産国 :日本

販売サイト:https://www.ironfactory-castem.com/SHOP/RO10028.html

2016年5月にオバマ元大統領米国の現職大統領として初めて被爆地の広島を訪問した際に、平和の願いを込めて4羽の折り鶴が贈られたことを受けて、「SADAKO」の商品第一号はオバマ元大統領に贈られる予定だ。

近年では、「EinScan(インスキャン)」など、簡単な操作で立体から高クオリティの3Dデータを取得することができる3Dスキャナーも販売されるようになった。今回紹介した「SADAKO」のように、歴史的価値の高いものから個人の思い出まで、3Dで残したり劣化しない材質へ生まれ変わらせたりすることが可能になる未来も近いかもしれない。

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Top Image : ©株式会社キャステム

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