News
2024.09.02
知財ニュース
動物のDNAを月に保存へ、永久凍結でDNA長期保存計画が進行中
動物の凍結したDNAサンプルを月面で長期保管する計画がされており、Oxford Academicでは研究論文が公開されている。
この計画は、月の極地にある影に覆われたクレーターでの自然の寒冷環境を利用して、-196°Cの温度でサンプルを保存することを目指している。この地域では、地球上で必要なような液体窒素や電力供給が不要となり、長期の保存に適しているという。
現在、地球上の生物の多様性はますます脅かされ、危険にさらされている。地球規模の気候変動に関する最もポジティブなモデルであっても、地球上の生物の驚くほどの割合が絶滅するのだという。
ノルウェーの北極圏にある「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」では、将来の食糧供給を確保するため、未来のために種子を守るとして、5,000種を超える植物種が保管されている。気候条件の変化はこのスヴァールバル種子貯蔵庫の安定性を脅かすが、月には大気が存在しないため、気候変動の脅威がないとされている。
今後数十年間で月面での人間の活動は劇的に増加する可能性があり、地球からの生命の長期バックアップを確立し維持することは、科学的に極めて重要な価値がある。
動物種の生きた細胞を長期保存するには、-196°C以下の温度が必要なのだという。地球には、人の介入なしで動物のサンプルを保存できるほど寒い場所はない。しかし、月には-196°Cに達する場所があり、安定した保存には十分な寒さとのこと。これは、深いクレーターが永久に影に覆われている月の極地では特に当てはまるとしている。
しかし、月面での保管には、長期間にわたる宇宙の過酷な環境に耐えられるパッケージの製造や、放射線にさらされたサンプルの劣化、微小重力が細胞に及ぼす長期的な影響など様々な課題もある。研究論文によると、この計画は数十年にわたるプログラムとのこと。
これを実現するには、受け入れ可能なサンプル保管、ガバナンス、長期計画を策定するために、幅広い国、文化グループ、機関、国際的利害関係者の協力が必要だとしている。
Top Image : © Oxford Academic