News
2025.08.20
知財ニュース
キリン、AI役員「CoreMate」を経営戦略会議に本格導入―会議時間短縮と意思決定を支援

キリンホールディングス株式会社は、長期デジタルビジョン「KIRIN Digital Vision2035」に基づき、経営層の意思決定を支える“右腕”として、「AI役員 CoreMate」を経営戦略会議で本格的に導入すると発表した。人とAIが共創することで多様な視点を取り入れ、イノベーションを通じた新たな価値創造を加速させるための取り組みとなる。
「CoreMate」は、過去10年分の議事録といった社内データと最新の外部情報を学習させた、12名の異なる人格を持つAIで構成。AI人格同士が事前に議論を交わし、そこで抽出された重要な論点や意見を実際の経営会議に提示することで、経営層は客観的かつ多様な視点を即座に得ることができる。これにより、意思決定の質とスピードを向上させ、イノベーションを加速させる。年間30回以上のグループ経営戦略会議で「CoreMate」が活用される見込みだ。
導入の目的は、「人がやらなくてよい仕事をゼロにする(生産性向上)」と「人と共に価値を生み出す仕事を加速させる(価値創造)」というデジタル活用の両軸に基づいている。
生産性の面では、会議の起案者が事前にAIと内容を壁打ちすることで多様な経営視点を事前に取り込み、与件整理や資料作成の精度が向上する。事前に付議内容の確度を高めることで、結果的に会議準備の効率化や、グループ経営会議時間の短縮に加えて、経営層・担当者が価値創造活動に専念できる時間創出が期待されるという。
価値創造の面では、「CoreMate」は過去のキリングループの経営知見に加えて外部の最新専門知識を専門知識を継続的にアップデートすることで、経営会議での経営層による議論の質向上と迅速な意思決定を促進。AI人格を介して客観的かつ多様な意見の取り込みが即座に可能となることで、変化の激しい外部環境に対応しながらイノベーション創出に繋がる意思決定の加速が期待されるという。
キリンホールディングスは、まずグループ経営戦略会議での導入から始め、将来的には取締役会やグループの事業会社の会議へも順次展開する予定。さらに、議論をリアルタイムで可視化する機能や、会話型のAI開発といった機能拡張も計画しており、グループ全体の経営品質向上を目指していく。
Top Image : © キリンホールディングス 株式会社