News

2025.04.21

知財ニュース

全国初、山口県が全公立中学校に生成AI導入―県と19市町が連携、「スタディポケット」を採用

スタディポケ_top

山口県教育委員会は、県内の公立中学校(特別支援学校中学部含む)全校に、学校向け生成AIサービス「スタディポケット」を導入する。提供対象は、153校の全生徒約33,000人と教職員。2025年5月から稼働を開始する。

今回の導入は、県教育委員会が進めている「生成AIを活用した家庭と学校の学びの好循環創出事業」の一環。県と19市町が連携して行う。都道府県単位で全公立中学校への生成AI導入は、全国初となる。

スタディポケ_sub

サービスを手がけるスタディポケット社は、学校・教育に特化した2種類の生成AIサービスを展開。生徒の学習を支援する「スタディポケット for STUDENT」と、教員の校務をサポートする「スタディポケット for TEACHER」を提供している。

学習支援の「for STUDENT」は対話型生成AIで、チャット形式で使える。生徒の質問に対して直接的な答えを教えない「探求学習モード」を備えているのが特徴。例えば、生徒からの「読書感想文を書いて」という問いかけには、「どのようなシーンが印象的でしたか?」などと応答。生徒の思考や学びを促すアプローチができる。

同社は2024年頃から、山口県教育委員会が進める前述の事業に参画。生成AIを用いた学習支援アプリケーションの開発を担当し、24年6月から25年3月まで行ったアプリ実証も支援した。

実証は県内公立中学校のモデル校7校の2、3年生を対象に行った。理科の授業で物理現象の調査や活用方法のアイデア出しに使ったり、英作文の添削に使ったり、国語の文法や文章理解に使ったりと、活用範囲は様々。各校で一定の効果が認められたことから、今回の全校展開に至った。

モデル校からは「主体的な学びを促進できる」「表現力を向上できる」との評価を獲得。生徒からも「自分のペースで学習を進められる」「興味が高まった」「視野が広がった」などの声が寄せられた。一方で課題もある。例えば、疑問点の言語化や質問する力、読解力などが必要で、学習効果に差異が生じる。また、活用を前提とした学習カリキュラムの再構築や、教員による活用支援の必要性なども検討事項に挙がった。

今回の導入では、生徒全員に加え、全教職員にもアカウントを配布する。学校全体での活用を目指すという。

ニュースリリースはこちら
関連ニュース
山口県教育委員会「生成AIを活用した家庭と学校の学びの好循環創出事業」

Top Image : © スタディポケット 株式会社

広告