News
2025.12.16
知財ニュース
ノッティンガム大学、歯に塗るだけでエナメル質を再生する「ゲル」を開発

ノッティンガム大学らの研究チームは、歯に塗布することでエナメル質を修復し、その再生を促進する新しいゲルを開発したと発表した。
エナメル質の劣化は虫歯の主な原因であり、世界人口の約50%が抱える歯科疾患に関連している。また、エナメル質の喪失は、感染症や歯の欠損のみならず、糖尿病や心血管疾患などの全身疾患とも関連する可能性があるとされる。 しかし、エナメル質は一度失われると自然には再生しない。既存の治療法では、失われたエナメル質そのものを復元することはできず、症状を緩和する対症療法にとどまっているのが現状だ。
今回、研究チームが開発したゲルは、乳幼児期にエナメル質の形成を誘導する「天然タンパク質」の特徴を模倣することで機能する。このゲルを歯の表面に塗布すると、薄く強固な層が形成され、歯の微細な穴や亀裂を埋めるように浸透する。その後、ゲルは唾液に含まれるカルシウムやリン酸イオンを取り込み、「エピタキシャル成長(結晶成長)」を促進。これにより、天然のエナメル質と同じ構造を再現し、その特性を回復させるという。
また、このゲルは象牙質(エナメル質の下層)が露出した部分にも使用可能で、塗布により象牙質表面にエナメル質と同様の構造を形成することが確認されている。これにより、知覚過敏の治療などへの応用も期待される。
Top Image : © The University of Nottingham


