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2021.02.02
知財ニュース
荷台を着脱できる「スワップボディコンテナ車」でトラックドライバーの労働環境改善へ
現代社会において、物流は社会インフラとして私たちの生活に欠かせない存在です。私たちがその利便性を享受している一方で、物流業界ではトラックドライバーの労働環境の改善が課題となっています。
厚生労働省によると、トラックドライバーの年間労働時間は、全産業平均と比較して、大型トラック運転者は468時間(月39時間)、中小型トラック運転者は456時間(月38時間)長いそうです。また、総務省の労働力調査では、道路貨物運送業における年齢階級別就業者構成比は50歳以上が約40%を占めており、運送業の少子高齢化が進んでいるとの結果も出ています。
そうした状況の中で、「スワップボディコンテナ車」を導入する物流会社が増えています。スワップボディコンテナ車とは、鈴与カーゴネットグループが開発した、商品を積載する荷台部分を着脱できる車両のこと。輸送と積み降ろしを別拠点で同時に行うことができるため、運行効率の向上に役立てることが可能となります。
下記は、鈴与カーゴネットグループによる「ドライバーの労働環境改善」を主目的とした実証実験に関する記述。運送の効率化だけでなく、ドライバーの負担軽減やコンプライアンスの遵守、環境負荷の軽減など、あらゆる面において物流業界の課題を解決する画期的な技術であることがわかります。
【実証実験】
実証実験は「ドライバーの労働環境改善」を主目的としており、
①毎日帰宅できるスケジュールを組めるか、②納品先での待機時間を削減できるか、を確認しました。
加えて、運行する車両台数の削減による環境負荷の軽減(CO2削減)にも寄与すると期待しているものです。◆実証実験の内容
・下図にあるとおり、計7台で運行していた輸送を、中継拠点を設けることで、2台による往復運航を行いました。
・また、ドライバーのトラック乗り換えや貨物の積み替えなどの手間が生じないよう、当社保有の「スワップボディコンテナ車両」を利用しました。
・更に、待機時間削減のため、サンスター株式会社殿、ユニリーバ・ジャパン株式会社殿において、優先的に荷卸しを実施してもらいました。◆実験の効果
①中継拠点を設けることで宿泊運行から日帰り運行へ変わり、ドライバーの疲労軽減・コンプライアンスの遵守に繋がりました。
②待機時間がほぼなくなったことで、1運行あたりの労働時間は平均1.5時間削減されました。
③環境負荷は、待機時間の削減によりCO2排出量は26%削減されました。
④更に、スワップボディを使った運行をすることで、一人のドライバーが各ルートを固定的に運行できるようになり、輸送品質の向上も期待できます。
鈴与カーゴネットグループがスワップボディコンテナ車を開発したのは約18年前。これまでスワップボディコンテナ車には相互利用を可能とする仕様がなく、物流業界での導入が普及しないという課題がありましたが、2019年には国土交通省による「スワップボディコンテナ車両利活用促進に向けたガイドライン」も策定され、今後ますます普及していくことが期待されます。
今年1月にはNHK教育テレビ番組「ピタゴラスイッチ」でも紹介されるなど、物流業界以外でも注目を浴びるスワップボディコンテナ車。コロナ禍において宅配需要が増加した今、私たちも物流業界の労働環境改善へ目を向けていきたいですね。