News

2021.07.27

知財ニュース

パナソニックが、ウェルビーイング実現を目指す「Aug Lab」プロジェクトの第2弾プロトタイプを発表

l FSG677WFIBKSFLZBPUZ5RK34LU 1

パナソニック株式会社が、先端テクノロジーの活用によってウェルビーイングな社会の実現を目指す「Aug Lab」プロジェクトにおける、第2期(2020年度)の成果を発表した。

パナソニックでは、ロボティクス技術がもたらす新しい価値として、「自己拡張(Augmentation)によるこころの豊かさの向上」をテーマとした研究開発を進めている。「Aug Lab」は、自己拡張に関する研究開発を行うための組織として2019年4月に開設。第1期では、ゆらぐ壁「TOU」や、コミュニケーションロボット「babypapa」、遠隔応援デバイス「CHEERPHONE」が発表された。

undefined

第2期の「Aug Lab」活動の中では、「人と自然の関係性」に焦点を当てたプロトタイピングを実施した。

水、空気を鮮明に感じるミストインスタレーション 「Waft(ワフト)」(共同研究パートナー:株式会社ウィープラス)

「Waft」は、デザインユニットwe+を共同研究パートナーに迎えて作り上げられた、人々が無意識に触れてしまっている「水」と「空気」の振る舞いをより鮮明に感じるためのインスタレーションだ。人・物事・自然環境の間に親密な関係を築く「Commune-Centred Design(コミューン・センタード・デザイン)」のアプローチから、人と自然の関係を構築し直すことを目的としている。

長さ2.4メートルの水槽の中にミストが充填されており、人感センサーやファンは一切使わず、空間を漂う空気や人の動きにミストが繊細に反応するという仕組みだ。生き物のようなミストの挙動から、周囲の空気の存在や、気流、人の軌跡にも思いを馳せることができる。

コケの環世界インターフェース「UMOZ(ウモズ)、MOSS Interface(モス インターフェース)」(共同研究パートナー:株式会社ロフトワーク)

「UMOZ」と「MOSS Interface」は、動植物をはじめとした生物の環世界(生物学者ユクスキュルが提唱したすべての生物は自身が持つ知覚によって独自の世界を構築しているという考え方)の理解を通して、自然物との共生の可能性や豊かな生活を探求することを目指す「環世界インタフェースプロジェクト」の一貫として作られた作品だ。共同研究パートナーは、クリエイティブ・カンパニーのロフトワーク。

コケの環世界にインスピレーションを得て制作された移動式ロボット「UMOZ」は、ボディに本物のコケを植えることができ、そのコケの特性に合わせて振る舞いのアルゴリズムが設計されている。UMOZには複数の光センサーと湿度センサ―が組み込まれているため、光の強さや方向、湿度を知覚することが可能。日陰を好む種は強い光から逃げようとしたり、湿気を好む種はミストを浴びると活発になるなど、環境の変化に応じて自由に歩き回る。UMOZの様子から、コケの環世界の理解に繋がっていくことを目的としている。

「MOSS Interface」は、コケの性質と照明を連動させることで、時間帯や季節の変化により生じる「ゆらぎ」を空間内に反映させる作品だ。多くのコケにとって湿度は重要な環境要素であり、時間帯や季節ごとに適切な湿度が常に移り変わっていく。MOSS Interfaceのボディに植えられた本物のコケに合わせて、湿度センサーがコケの湿度を常にセンシングし、その値と連動して照明の明度を変化させる。水を与えると電気が明るくなったり、乾燥すると電気が暗くなるなど、コケの性質を空間レベルにまで拡張することで、コケとの共生を想像するきっかけをつくることを目指している。

これらのプロトタイプは、現在、パナソニックセンター東京のクリエイティブミュージアム「AkeruE」にて、「自然から見た世界」をテーマに展示されている。期間は9月下旬まで。

パナソニックは、今後も「自己拡張」の領域における価値探求を進め、より多くのウェルビーイングを実現するプロダクトやサービスの社会実装を進める活動を続けていくとしている。

記事全文はこちら

「Aug Lab」公式サイトはこちら

Top Image : ©パナソニック株式会社

広告