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2021.12.26
知財ニュース
1万人が住む浮島都市を建設するプロジェクトが韓国・釜山で始動─2025年に完成予定
近年、ハリケーンや洪水は、地球温暖化の進行とともにより頻繁に、より激しくなっている。気温が摂氏4度上昇するという温暖化の最悪のシナリオでは、今後100年間で、少なくとも50の主要都市が海面上昇のために水没し、人口過密地域の大半を失うと言われている。
こうした世界規模の問題に対処するため、従来の常識や慣習にとらわれないデザインを次々と生み出すことで知られているデンマークの建築家ビャルケ・インゲルスを筆頭に、国連ハビタット(国連人間移住計画)の協力のもと、韓国の釜山(プサン)沖に浮く海上都市「Oceanix」の建設プロジェクトが始動した。建設には2億ドル(約200億円)かかると言われており、2025年までに建設される予定だという。
Oceanixは、海上に浮かぶ複数の人工島で構成される。浮いているため、地球温暖化による海面上昇の影響を受けない構想だ。
Oceanixは、コンクリートの2〜3倍硬い石灰岩で構成されているが、浮力もある。この石灰岩は、海中の鉱物に電流を流すことで作られており、この技術によって時間の経過とともにプラットフォームの強度が増し、自己修復も可能になるため、厳しい気象条件にも耐えることができるという。
また、Oceanixの下に設置されるケージではホタテや昆布などの養殖ができ、アクアポニックス(野菜と魚を一緒に育てる食料生産技術)によって魚の排泄物を植物の肥料として利用することが可能となる。
さらに、電力は建物の上に設置されたソーラーパネルから供給する設計なため、都市全体が環境に優しいのが特徴だ。
市の中心部には保護された港があり、そこでは社会的、娯楽的、商業的機能が導入される予定とのこと。Oceanixは一見夢のような世界だが、実用性が高く、国際連合も支援しているなど、海面上昇の新たな打開策として期待が持たれている。
ちなみに、現段階では海上都市の大きさは未定だ。当然、未来の海上都市に住むメンバーも決まっておらず、居住に必要な料金も明らかになっていない。
まだまだ不確定なところが多いOceanixだが、世界規模で進行しているプロジェクトの今後に期待したい。
Top Image : © Oceanix