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2025.10.07
知財ニュース
シャープ、国際宇宙会議(IAC 2025)で宇宙用薄膜太陽電池の実績を披露―SLIMやMMXで採用

シャープは、オーストラリアのシドニーで開催された「第76回 国際宇宙会議(IAC 2025)」において、JAXAブース内で最先端の宇宙用薄膜化合物太陽電池3種類を出展した。
同社は、3つのタイプの薄膜化合物太陽電池を展示。まず「フィルムシートタイプ」は、薄いフィルムで太陽電池セルを封止したシート構造で、軽量で曲面にも搭載できる柔軟性が特徴。今年1月に月面着陸に成功した小型月着陸実証機「SLIM」に搭載され、その耐久性を証明したもの。
次に「ガラスシートタイプ」は、表面保護に特殊なガラスを使用したシート構造で、耐放射線性に優れており、2028年度打ち上げを目指す深宇宙探査技術実証機「DESTINY+」への搭載が予定されている。
そして最も注目されるのが「ガラス封止セルタイプ」で、シャープ独自のセル内配線技術により実現したCIC(Coverglass Integrated Cell)構造を持ち、高効率・軽量でありながら人工衛星での安定した動作性能が評価され、JAXAの火星衛星探査計画「MMX」(2026年度打ち上げ予定)への採用が決定している。今回、「MMX」搭載予定の薄膜化合物太陽電池と同構造のモデルを展示した。
国際宇宙会議は1950年から開催されている宇宙産業や科学技術の祭典であり、世界中の宇宙関連機関や企業が集結。シャープは1972年からJAXAに宇宙用太陽電池を供給し続けており、今回の出展は50年以上にわたる宇宙開発への貢献を示す機会となった。
今回の展示は、シャープの革新的な太陽電池技術がこれからの宇宙探査や開発において重要な役割を果たすことを強く示唆し、大きな期待が寄せられている。
Top Image : © シャープ 株式会社