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2022.02.23

知財ニュース

中国、AIロボットが胎児を育てる「人工子宮」システムを開発

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中国科学院傘下の蘇州医用生体工学研究所の研究チームは2021年12月、人工子宮で胎児の世話をする人工知能システム「AIナニー(乳母)」を開発したことを発表した。

中国の医療専門誌『Journal of Biomedical Engineering』に掲載されたレポートによると、現在「AIナニー」は栄養価の高い液体で満たされたキューブを並べた人工子宮(長期胚培養装置)の中で多数のマウスの胚を育成。胚のわずかな変化を検出し、二酸化炭素や栄養の投入、環境を微調整する。胚に異常があった場合は警告を発するという。

同チームによれば、応用が進めば理論上、実験室での胎児の育成も可能。また、生命の起源とヒトの胚発生の理解に役立ち、生殖医療の問題を解決する手掛かりにもなりうる。現在、中国は急速な出生率の低下に直面。新型コロナウイルスの影響で2021年は1950年以降で最小の出生率だった。

中国では代理出産が禁止されており、人工子宮の技術が確立すれば人口減少の打開策となることが予想される。しかし、2週間を過ぎたヒトの胚の実験研究は国際法で禁じられているのに加え、人工子宮から生まれた子どもとヒトから生まれた子どもが混在した場合大きな問題を生む。北京の首都児科研究所の研究者は、仮に人工子宮が実現した場合、社会的・心理的な影響は避けられないだろうと語る。

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Top Image : © Getty Images

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