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2025.09.12
知財ニュース
名古屋大学、宙に浮くほど軽い「超軽量素材」を開発―浮遊に成功、ドローン騒音対策にも

名古屋大学大学院は、宙に浮くほど軽い「超軽量素材」を開発した。この素材はテレビ東京の番組「ブレイクスルー」でこの素材を発明した同大学院の上野智永助教による研究の取り組みが紹介された。
世界の産業を支えてきた素材大国の日本で新たに多くの産業に変革を起こす可能性を秘めた、宙に浮くほど軽い「超軽量素材」が誕生した。航空機メーカーや自動車メーカーなども注目する「夢の新素材」を発明したのは名古屋大学大学院の上野智永助教だ。
この素材は空気よりも軽い超軽量素材で重量は0.05グラム、手に置いても重みを感じないほどだ。番組では、上野氏が素材をランプで温めると、素材が浮き上がる様子が確認できる。
この素材は、熱気球と同じような仕組みで浮くのだという。熱気球は、熱によって温められた空気がまわりの空気よりも軽くなるため浮かぶ。「超軽量素材」の材料はとても軽く、中に穴がたくさん空いており、この穴の中の空気が温められることで熱気球と同じように素材が浮かび上がるのだという。
この穴の間には繊維状の構造でできた壁があり、これによって一定の強度がある素材になっている。空気の温度を安定させれば長時間浮き続けることも可能だ。将来的には空飛ぶ絨毯も可能かもしれないとのこと。
空飛ぶクルマ・ドローンの騒音低減化に向けた超軽量吸音材料の開発研究も行われている。「超軽量素材」は高い吸音性能や遮音性能を有しており、特に、1000Hz以下の吸音性能が高い点に特徴がある。今後、空飛ぶクルマやドローンが普及していくと考えられるが、本格的な普及には社会受容性の確保が重要。特に多くの空飛ぶクルマや大型ドローンが空を飛び交う普及フェーズでは、騒音問題が懸念されており、その対策が必要だ。
そのような社会的要求を先取りし、研究チームは超軽量吸音・遮音材料を活かした空飛ぶクルマ・ドローンの騒音対策の基礎研究を進めている。
また、名古屋大学発スタートアップ企業「株式会社ソラマテリアル」の設立もしており、この素材を用いて航空宇宙、モビリティ領域等の軽量化に貢献するとしている。
Top Image : © Chemical Reaction and Interface Dynamics Laboratory