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2023.09.20
知財ニュース
京大発ベンチャーが世界初、「歯を生やす薬」を開発中─2030年頃の実用化目指す
京都大学発のベンチャー、トレジェムバイオファーマ株式会社らの研究チームは、世界初となる「歯生え薬」の実用化に取り組んでいる。
研究チームが開発する「歯生え薬(自己歯再生薬)」は、新たな歯になり得る歯の「芽」に働きかけることで、先天性・後天性の歯の欠損を補う薬。歯の成長を抑制するたんぱく質「USAG-1」により、通常は生えずに無くなる歯の「芽」に働きかけて成長を促す。
研究チームは、2007年に発見された過剰歯(通常よりも多い歯)を持つモデルマウスに「USAG-1」が遺伝的に欠損していることを発見し、「USAG-1」の抗体薬を作製。2018年に歯の数が少ないマウスやフェレットに投与したところ、歯を生やすことに成功したという。
なお、2025年からは生まれつき永久歯の数が少ない「先天性無歯症」の2~6歳の子供を対象に治験を実施予定。今後は、虫歯などで歯を失った「部分無歯症」の成人の治療も視野に入れているとのこと。
健康には欠かせないものである歯。研究チームは、2030年の実用化を目指して研究開発を進め、自分の歯で長くかめるようにすることで健康寿命の延伸に貢献したいとしている。
Top Image : © トレジェムバイオファーマ 株式会社