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2025.02.05
知財ニュース
今年の世界遺産保護に「月」が選ばれる―2025年度ワールド・モニュメント・ウォッチ
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世界遺産保護のリーダーであるワールド・モニュメント財団(World Monuments Fund)が、ワールド・モニュメント・ウォッチの2025年度に25か所の歴史的場所を選び、その中に月が含まれた。
「ワールド・モニュメント・ウォッチ」は、気候変動、観光、紛争、自然災害など、大きな課題に直面している25か所を選ぶプログラムで、隔年で行われている。
宇宙時代の幕開けとともに、各国は宇宙探査において画期的な進歩を遂げ、月には宇宙船が月面と接触した史跡が90か所以上あるのだという。その中には、アポロ11号の着陸地点である「静かの基地(Tranquility Base)」があり、そこには100点を超える歴史的遺物と人類初の月面への足跡が保存されている。
同財団は、宇宙探査の新しい時代に乗り出すにあたり、人類史上のこれらの並外れたマイルストーンである初の月面着陸の痕跡を確実に保存する必要があると考えている。
月には、風や水がないため、比較的安定した状態で保存されてきた。しかし、急成長する商業宇宙産業など、月面での人類の活動に対する最近の関心の高まりは、宇宙探査の刺激的な新時代を歓迎する一方で、新たなリスクをもたらしている。
将来のミッションや民間の月探査による搾取的な訪問、記念品の持ち去り、略奪は、最終的にこのユニークな文化遺産を危険にさらし、遺物の除去や月面の象徴的な足跡や痕跡が永久的に消失してしまう可能性があるとしている。
ワールド・モニュメント財団は、「月の遺産の相互尊重と保護に基づく国際的枠組みを提唱することで、将来の月への訪問が月の重要性のいかなる側面も損なうことがないようにすることができる。」と述べている。
Top Image : © ワールド・モニュメント 財団