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2025.04.24
知財ニュース
生成AIチャットボット治療でうつ症状が51%改善―AIによる対話治療、うつ病・不安障害・摂食障害に改善効果

ダートマス大学の研究者らは、生成AIを搭載した治療チャットボットで初の臨床試験を実施し、これによって参加者の症状が大幅に改善されたことを発表した。この試験の結果は、2025年3月27日付けの「NEJM AI誌」に掲載されている。
研究チームは、「Therabot(セラボット)」と呼ばれる生成AIを搭載した治療チャットボットを開発。このセラボットを使用して臨床試験が実施された。
試験は、うつ病、全般性不安障害、または摂食障害と診断された成人210人が参加し、8週間実施された。参加者の106人はセラボットを使用し、残りの104人は待機リストとして試験実施期間中は使用できないようにされていた。
参加者はTherabotで自分の気分に関するプロンプトの回答の入力や、話したいときに会話のやり取りを行った。
研究の結果、うつ病と診断された参加者は、症状が平均51%減少し、気分と健康状態に有意な改善が見られた。全般性不安障害の参加者は、症状が平均31%減少し、摂食障害のリスクがある参加者は、体のイメージや体重に関する不安が平均で19%減少した。
研究者らは、AIを活用した治療には依然として臨床医の監督が不可欠であるものの、専門家に定期的に、またはすぐにアクセスできない人々にリアルタイムのサポートを提供できる可能性があると結論付けている。
また、参加者はセラボットに詳細な回答ををするだけでなく、頻繁に会話を始めたのだという。やり取りは、夜中など体調不良と関連する時間帯に増加することも示された。
ChatGPTのリリース以来、多くの人がこの分野に殺到しているが、安全性と有効性は十分に確立されていないのだという。研究の主任著者であるNicholas Jacobson氏は、「綿密な監視が必要なケースの一つであり、それを提供することで、この分野における私たちの真の利点を際立たせています。」と述べている。
Top Image : © ダートマス 大学