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2022.06.30

知財ニュース

世界初、修復能力を持つ「生きた皮膚」で覆われた指型ロボットを東大が開発

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情報理工学系研究科の竹内昌治教授、河井理雄大学院生(研究当時)を中心とした研究グループは、人の皮膚細胞から作製される「培養皮膚」を利用し、細胞由来の生きた皮膚を持ち、修復能力など人間らしい機能を備えた肌を持つ指型のバイオハイブリッドロボットを作製することに世界で初めて成功したと発表した。本研究成果は、2022年6月9日午前11時(米国東部夏時間)に米国科学誌「MATTER」のオンライン版に掲載された。

ロボットがヒトと協働する時、ロボットは人間やロボット自身を接触から守るために皮膚のような柔らかい外装を持つことが求められているが、そのような柔らかい外装は細かな裂傷を負いやすい。ロボットが傷を負うたびに回収して修理を施すのは非常に大きなコストがかかるため、自己修復能力を持つことが期待されている。

本研究では人の皮膚から単離された細胞を培養し、増殖させる事で作製した「培養皮膚」を用いて立体物を被覆する手法を開発し、生きた皮膚で纏われた世界初のロボットを作製した。

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指型ロボットを被覆する培養真皮組織は傷つけられても修復でき、メスを用いて作られた傷口にコラーゲンシートを貼ると、7日間ほどの培養でコラーゲンシートに真皮細胞が移動し、傷口の接着強度が強まることが本研究で確認された。また、指型ロボットは形成された培養皮膚を破壊することなく再び関節運動を行うことができ、培養皮膚表面には撥水性のある表皮の層が形成され、傷口部分が一体化していることも確認できた。

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本研究で開発された培養皮膚ロボットの作製技術は、修復性や人間らしさを活かした産業への活用の他、皮膚を対象とした化粧品や医薬品の開発、移植素材としての再生医療分野での活用も期待されている。

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Top Image : © 東京大学

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