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2022.10.07

知財ニュース

洋上風力発電のアルバトロス・テクノロジーが1億円の資金調達、海上実験の準備開始

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浮体式洋上風車(垂直軸型)の開発に取り組む株式会社アルバトロス・テクノロジーは、株式会社ジェネシア・ベンチャーズから総額1億円の資金調達を行い、浮体式洋上風車の小型海上実験の準備を開始したことを発表した。

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FAWT animation 2022 06

アルバトロス・テクノロジーは、海洋再生可能エネルギー(洋上風力、潮流・海流・波力)による発電装置を開発している研究開発型スタートアップ企業だ。同社は海洋再生可能エネルギーの実用化・商用化を目指し、潮流・海流タービン、波力タービンのほか「浮体式垂直軸型洋上風車」を開発している。

この垂直軸型風車は軽量・低重心で、超大型台風といった厳しい海象を想定しても浮体を小型化できるという。さらに低コストであることと、回転する円筒浮体で回転軸を支える浮遊軸型風車(Floating Axis Wind Turbine: FAWT, ファウト)は、海水が軸受となる単純構造で、起き上がり小法師の仕組みが取り入れられており、たとえ横倒しになっても直立に戻る「転覆できない」浮体式風車であることが特徴だという。

このプロジェクトに総額1億円を出資したジェネシア・ベンチャーズは、産業創造を担うすべてのステークホルダーを巻き込み、人・情報・テクノロジーを活用できるハブとなることで、次世代の大きく且つ持続的な産業を生み出すプラットフォームとなることをミッションに掲げているベンチャーキャピタルだ。今回の出資についてジェネシア・ベンチャーズベトナム事務所代表の河合将文氏は、「アルバトロスでは、浮体式に特化したFAWTを開発することで、大幅なコスト削減による再エネの普及と脱炭素社会の実現、純国産化による産業創造と地域経済への貢献、エネルギー安全保障の確保を目指しています。(一部抜粋)」と述べた。

今回アルバトロス・テクノロジーが調達した資金は、小型海上実験機の設計・開発に使用されるとのこと。複数の大手電力会社と海運会社との連携により小型実験機を製作し、2024年度に海上実験を開始する予定だという。風車部の製造は、連続引抜き成形を得意とする福井ファイバーテック株式会社(愛知県)が担い、浮体製造は株式会社みらい造船(宮城県)が担当する。

今後は最初の海上でのデモとして出力20kW未満の小型実験機を製作し、港内に設置することで、解析・設計手法を確認し、大型機の海上実証プロジェクトに繋げていきたいとのこと。大型機で実証済みと業界で認識されれば、商用機のプロバイダーとして風力発電事業社らと提携し、国内外の洋上風力入札に参加できるようになる見通しだ。世界の浮体式洋上風車は、海外の多数のスタートアップ企業がリードしている状況で、これらは実証機の段階で株式公開を実施している。

ニュース原文はこちら

Top Image : ©︎ 株式会社 アルバトロス・テクノロジー

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